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ジェネリックの「売り切れごめん」商法


 ジェネリックのシェア16%というのはすでに述べたが、これはジェネリックの生産能力がそれだけしかないということでもある。

 かつてジェネリックは「売り切れごめん」の商法を長く続けていた。一定の生産能力の下に多品種少量生産を続けてきたから、常に売り切れのリスクがあり、これは病院側にとっては

安定供給に不安があるということで、ジェネリックが普及してこなかった一因でもあった。

 ジェネリック各社にとっては在庫を持ちたくない、金のかかる設備投資もぎりぎり抑えたいという経営上の必要があって、生産能力を高めることにためらっていたが、このところの追

い風を受けて、各社とも生産能力の向上に取り組んでいる。

 ○六年、富士製薬工業では主力の富山工場の生産能力を二倍に引き上げた。同社は早くから積極的な設備増強に取り組んでおり、○二年には造影剤以外の注射剤の製造棟を建設し、○

四年には造影剤の生産設備を更新するなど、四〇億円をかけてきた。今回は一二億円をかけて富山工場の第四製剤棟を建設したもの。

 大洋薬品工業でも○七年をめどに錠剤などの経口剤の生産能力を約三倍に引き上げる方針。本社工場に隣接した土地に、建物約四〇億円、機械設備に六〇億円を投資するという大型投

資だ。

 さらに東亜薬品、タイト、辰巳化学といった中堅規模のメーカーも○六年になって一〇億円規模の投資を行って生産力増強に努めている。

 売上げ規模からみれば相当に思い切った投資である。やはり強い追い風を充分に意識しているのだろう。


 ジェネリック医薬品の安定供給のため、ロットが小さくても生産を継続しなければならない場合もあろうし、供給過剰になる場合もあろう。ジェネリック各社は長い歴史の中で、そう

した対応力を身につけており、彼らが供給能力を高める判断をしたということは、今後の成長が必至と、強気になっていることの現れで、今後も彼らの生産力向上のための投資は積極化

していくだろう。 生産能力増強という点では、新薬メーカーからの受託生産も増えている事情もある。

 これまで新薬メーカーは生産面をけじめとして経営面でのコスト意識に乏しく、構造的赤字になっても、画期的な新薬を開発すれば大丈夫とばかり、社内的なリストラ(事業の再構築

)に取り組んでこなかった。

 新薬開発の環境が厳しくなって、利益を出すためにはリストラが必要と認識されるようになり、そのために外部への委託生産が重要な手法として捉えられるようになった。

 その際、どこへ委託するかというと、最新の設備を持ち、小回りの効く生産体制を取ってきたジェネリック会社ということになる。新薬メーカーとジェネリック会社が役割を分担し、

共同歩調で医薬品業界を生き残っていこうという流れも生まれつつあるのだ。

 こうしたニーズヘの対応も考えれば、生産能力の向上は新たなビジネスヘの取り組みとなる可能性もある。