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なぜジェネリック陣営は勝てないのか

三共の医薬品卸に対する圧力も強硬なものがあったという。

 卸に圧力をかけて病院にメバロチンを使い続け、ジェネリックを使わないように営業するように求めた。

 もちろん、リベートというアメも用意し、メバロチンを大量にリベートも膨大になるが、扱い量が減れば、途端にリベートが少なくなる。

 医薬品卸は取扱高一兆円規模の巨大卸が誕生して、見た目は有力な業態に見えるが、内実は新薬メーカーの機嫌を損ねるわけにはいかないという弱い立場。

 病院からは常に値下げを要求され、仕入れ先の新薬メーカーからは建値維持を求められるという板挟みで、利幅の薄い業態。頼みの綱はメーカーからのリベートで、これで各社とも利益を捻出しているのが実情。

 さらに薬価が低いジェネリックよりも先発薬の方が薬価が高く販売リベートも高額になる傾向がある。しかも高いブランドカと長い実績を考慮すれば、知名度の低いジェネリックを苦労して売るよりも、先発薬を継続的に売っていた方が楽だという事情もある。

 そのため、メバロチンは医薬品卸ルートでは依然として圧倒的に強い。先に東和薬品がMRを増員し、卸を通すよりも代理店など自力販売に力を入れているというのも、この点において正しい。つまり、大干卸はジェネリックをきちんと売ってくれないのだ。

  この構造をジェネリック側か打開するのは至難の技となろう。

  ある時期、公正取引委員会が新薬メーカーと卸とのこのいびつな力関係を問題視し、調査に乗り出したことがあったが、メーカーはもちろん卸側の非協力にあって立ち往生していた。まさに医薬品の流通構造はブラックボックスなのである。

なぜジェネリック陣営は勝てないのか

 ジェネリックの価格低下については、構図的にはメバロチンジェネリックというのではなく、独走するメバロチン以外のジェネリック同士の競争という形になるので、価格のよりスパイラル的な低下が起こってくるのは必然といえよう。

 発売直後の実勢価格を一〇〇とすれば、現在は東和薬品が六七、沢井製薬が四五、大洋薬品日医工では四〇にまで下がっているという。営業力の弱い順に価格が下がっているのがわかるだろう。ちなみにメバロチンは七〇程度。

 しかも、メバロチンの価格はジェネリックに接近していく。薬価改定ではただでさえ薬価と市場価格との差を埋める方向に寄っていくのに、厚労省は次回の薬価改定ではより市場価格を重視するとしている。たとえば、先発薬の市場価格が一〇〇円、ジェネリックが五〇円で、市場シェアが七割と三割だったら、改訂後の先発薬の薬価は自動的に八五円となる。それに加えて通常の薬価引き下げが重 なるのだから、先発薬はジェネリックよりやや高い程度になる可能性がある。

 この新方式にジェネリック各社が猛反発している。
 先発薬がジェネリックに近づけば、薬価差がなくなってブランドカの違いによって切り替えが進まず、ほとんど先発薬になってしまう、という主張だ。

 ジェネリックのセールスポイントは先発薬に比べて圧倒的に安い低価格だけ、という事情がある限り、その主張もうなずけないことはないが、あまりにも弱気すぎないか。前述したような負け犬根性が染みついているというのはこのことだ。

 相手の価格が接近することは対等に売れる機会が増えると喜ぶべきで、なんで相手の価格全局止まりさせておかなきゃならないのか。よけいにメバロチンの値下げ余地を膨らませるだけではないか。

 彼らの意識はメバロチンジェネリックという構図から抜け出せていない。そうではない。メバロチンジェネリックも同じ医薬品である。特許が切れた今、メバロチンも数あるジェネリック医薬品も同じ立場にあるとなぜ認識できないのか。その上で、いかに安く生産し、効率的な営業で薄い利幅の中で利益を出していくか、必死の努力をしていこうと考えなければならない。メバロチンの価格を下げるななど、本末転倒も著しい。というか、もはやどっちが攻めているのかわからない。苦しいのは三共も同じなのだ。
 三共も新薬の利益を削って必死にメバロチンの目減りを防ごうと努力をしている。それが企業努力というものだ。

 その結果として、ジェネリックラッシュだった〇三年もメバロチンはハパーセント程度の売上げ減で収まったのだし、かつての売上げ1000億円は望めないまでも、七~八〇〇億円を維持している。この〇六年四~六月の第1四半期もメバロチンの売上げは二五〇億円と健闘している。〇六年春には最大市場の米国で特許が切れた。いよいよジェネリックの猛攻が始まり、おそらくメバロチンの世界売上げは半減するだろう。それをなんとか乗り越えようとしている。

 これが先発薬のブラッドとか業容の威力だと思っている限り、ジェネリック陣営の勝ちはないと断言できる。