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排尿障害薬「「ルナール」と、糖尿病薬「ペイスン」は独走状態

 

剤型の改変によるジェネリックヘの対抗策
 ジェネリックヘの対抗策として、②の先発薬の剤型の改変があげられる。

 大日本住友製薬の血圧降下剤、狭心症治療薬「アムロジン」は〇八年に特許が切れる。その後はカルシウム拮抗剤として大型医薬品だけに後発薬ラッシュとなることは間違いない。

 それに対して大日本住友製薬では〇六年七月、薬剤を水なしで飲める口腔内崩壊錠を発売した。口の中で溶け、のどや食堂に使えにくいので高齢者でも飲みやすくなっている。成分量は一五ミリグラムと五ミリグラムで、従来製品より一ミリ小型化してさらに飲みやすくした。

 これによって従来の錠剤型で発売するだろうジェネリック医薬品と差別化していこうという考え。

 また、放っておけば下がる一方の薬価に対して、製品力のアップで売上げ増で薬価引き下げ分を吸収することも狙いの一つ。

 同様に第一三共でも、消炎鎮痛剤「ロキソニン」の貼り薬を発売した。

 ロキソニンは消炎鎮痛剤の飲み薬で国内トップ、売上げは二八〇億円前後を維持している大型医薬品。しかも、九七年には物質特許が切れている。

 にもかかわらず、これだけの売上げを維持しているのは、消炎鎮痛だけでなく、解熱や歯痛などへの効能追加(後述)と三共の営業力の賜といえる。

 それに今回の貼り薬の追加。貼り薬自体は他社も手がけているが、一日複数回張る必要のあるそれらに対して同社の場合は一日一回ですみ、より使いやすくなっている。

 水なしで飲める錠剤(OD錠という)開発ではさらに上を行くのが武田薬品

 なんといっても圧倒的な技術力で、ジェネリック各社が追随できない剤型開発を手がけているのだ。

 〇五年に国内でジェネリックが出回った武田の主力医薬品、排尿障害薬「「ルナール」と、糖尿病薬「ペイスン」は、ジェネリックに押されることなく、売上げを落とさずに独走を続けているのもそのため、特許が切れる前からOD錠に切り替えを進めていたから、特許切れの影響はほとんどないといえる。〇六年の薬価改定で(ルナールは一五%、ペイスンは一四%の大幅引き下げにあったが、これも数量増で吸収できるとしている。

 従来の(ルナールはカプセル状で、胃に滞留せず素早く腸に届く直系丁丁ベリの薬効成分の入った粒が中に入っている。武田のOD錠は、これを〇・三五ミリの粒に成分を入れ、錠剤としたもの。この大きさなら簡単に口腔内で溶けるし、呑み込む力の弱い高齢者や逆流性食道炎など胃から腸への機能が弱い患者にも効率的に効く。

 しかも、ただ小さくすればいいというものではなく、錠剤にする際の圧力で破れないようにする膜、苦みを感じないようにする膜、薬剤が時間や環境で変質しないようにする安定化剤などの七層構造になっていて、この製剤や製法がちょっとやそっとでは他社がまねできないのである。

 このほかにも、みそ汁に溶かして飲める薬や飲みやすいカプセル形状の開発など、患者にとってメリットのある製剤開発競争が繰り広げられている。医薬品メーカーは患者そのものを最終ユーザーとしないから、飲みやすさなどには配慮してこなかった時代と比べると、大きな前進といえよう。

 ただ、対ジェネリックとなるとこの剤型開発がどこまで効果を発揮するかは不透明。武田のタケプロッなどは例外としても、口腔内崩壊錠はジェネリック各社も手がけることができるからだ。

 ジェネリック側の自由な発想で思いもかけない形状の錠剤が開発され、爆発的にヒットすることも考えられる。

 製剤開発という観点からみれば、先発薬対ジェネリックという構図ではなく、横一線の開発競争という、いわば本筋の競争になる。