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外資各社がブロックバスターと呼ばれる超大型新薬を日本で投入


 日本市場での外資の力がひしひしとわかる。ファイザーが四四二億ドル、サノフィアペンティスが三一四億ドル、グラクソが三二一億ドルなどという世界規模での外資の売上げのランクはいまひとつ実感がないものだが、こうして日本市場で確実に上位に来ていることをみれば、外資の脅威が現実味を持って迫ってきているのがわかう。

新薬開発において外資との差は圧倒的

九六年度から二〇〇〇年度にかけて国内で承認された新薬がニー〇品目あるが、そのうち外資による開発品は一〇二品目、外国企業からの導入品が四二品目、国内企業による開発が六八品目たった。すなわち七割までが外国製品なのである(厚生労働省による)。

 圧倒的な研究開発力を武器に日本市場で猛威を振るっているのがこれでもわかる。

 データ自体は五年前のものだが、この傾向は落ちるどころかより増していることは明らかだ。

 なにしろ、トップのファイザーの世界での研究開発費は七四億四〇〇〇万ドル。八五五六億円(一ドルー一五円換算)にも達しているのだ。アステラス製薬の「売上げ」にも匹敵する額を研究開発に充てているというすさまじさ。世界二位以下サノフィ、グラクソといった世界の大企業は軒並み数千億円規模の研究開発投資を続けているわけで、日本市場においてもその新薬開発力の差は圧倒的に開いている。

 最大手の武田薬品で研究開発費は一六九六億 円をけじめ、大台を超えているのはアステラス、第一三共しがなく、それ以下の準大手クラスで300億円程度にすぎない。日本企業と外資では一〇倍もの差があるということで、現状はもちろん、中期的にもその差は開き続けるし、このままでは絶対に縮むことはあり得ない。

 しかもただの新薬ではない。外資各社はブロックバスターと呼ばれる超大型新薬を日本で投入している。世界で年間一〇億ドル(約一一五〇億円)を売り上げていた大型薬品を循環器、がん、精神疾患などの有望市場向けに投入し、画期的な効能を武器に医療機関での使用が広がっており、売上げは急増しているのだ。


ついに日本市場の三割を占めた外資パワーの凄さ

 実際、日本で流通している医療用医薬品の外資のシェアは〇〇年度には一五・六パーセントだったが、〇四年度には二九・五パーセントにまで拡大している。この数年で急速にパワーアップしているのがわかる。現在は三割を超えているだろう。

 外資が日本市場に進出してくる手法として、ダイレクトに日本法人を立ち上げるよりM&Aを活用するのは当然で、現在、外資が五〇%以上の株式を保有する外資系の製薬会社は一〇〇社を超えるとみられ、今後も外資の圧力は強まる一方。特にそれは中堅クラスに強い。

 営業面など直接的な圧力だけではなく、先のランキングの数字を見ても明らかだが、外資に席巻されてランクを落としていく準大手クラスの影響を間接的に受けるからだ。玉突き状に上位から中堅クラスの競争が厳しくなっていき、それが生存競争というレベルまで達するのは時間の問題だ。

 中途半端な事業規模、中途半端な開発力、そして中途半端な営業力しか持だない中堅企業は淘汰の道を歩むということだ。

 圧倒的な薬効を持つ外資の医薬品と、限定的な効能しか持たない国内の医薬品とでは競争にならない。中堅メーカーが必死に守る独自医薬品も、規模が中途半端でコスト競争には耐えきれないし、次の新薬の開発もままならない。

 また、外資の売上げが三割を占めるまでに普及してくると、日本独特の商慣行も変化してくる。人間関係での営業や情実に頼った取引関係、時間外労働的なサービスなど、海外から見ると異常ともいえるようなウェットな取引関係、それがあって外資はなかなか勢力を拡大できなかったのだが、その関係がよりドライになっていくことは確実。

 AよりBの方が効く、BよりCの方が効く、という厳然な事実の前に情実は影を潜めていこう。ここにジェネリックの台頭も重なる。

 すでに医薬品業界は地殻変動を起こしている。生き残るためには再編に踏み切らねばならないところに来ているのだ。