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気管支喘息薬S5751や肥満症薬S2367など

 六兆円規模という世界第二の市場である日本の医薬品市場は、確実に縮減していく。薬価改定は厳しさを増し、いくら数量増でカバーしようとしても限界がある。外資のように画期的な新薬を開発できない限り、その縮減に巻き込まれるしかない。

 それに対して米国では今後年率七~九%、欧州でも五%程度の伸びが見込めるし、アジアでもニケタの高成長は必至とされる。

 武田など体力のある国内の大手医薬品メーカーが海外市場に打って出るのは当然といえよう。

 しかし、それ以外のメーカーはほとんど海外に足がかりを持だないでいる。

 たとえば、三菱ウェルファーマの海外売上比率は一八%、田辺製薬一〇%、塩野義製薬四%といったところ、小野薬品工業に至ってはわずか二%。ほとんどが国内専業の内弁慶企業である。

 しかも海外売上げといっても、自前の販売網を構築しているわけではなく、現地の大手メーカーへの開発委託や販売委託、あるいは原体などの導出品として、最終的な販売に関わっているわけではないから、利益率は低く、研究開発体制などの事業の広がりもない。足がかりを築くというレベルの話ではない。

 ただいくつかのメーカーは必死に足がかりをつかもうとしている。たとえば大日本住友製薬は抗リウマチ剤SMP114や統合失調症のAD5423など五種類の新薬の欧米での臨床試験に取り組んでおり、そのうちの四品目がF2段階にある。

 早ければ三年後に製品化される見通しで、これに合わせて米国で数百人規模のMRを採用しての自前の販売網を構築する計画を持っている。これが大きな合併効果といえる。

 大日本住友はこれまでほとんど海外にシェアを持たず、典型的な国内企業だった。現段階では自前販売網の可否はわからないが、その計画は国内重視では生き残れない、という危機感の表れといえる。

 塩野義製薬も現地に研究開発拠点を有し、気管支喘息薬S5751や肥満症薬S2367など四品目が欧米でF1~F2の開発中。これまでは他社に販売を委託していたが、製品化されればそれに加えて自前のMRで販売を扱う方針で、特に米国市場への取り組みを進めている。

 三菱ウェルファーマ心筋梗塞薬MCC135など三品目が欧米でF2の開発中で、同社ではこれに加えて、米国ボストンに投資会社を設立。これは欧米のバイオベンチャーなどパイプラインを持つ小さな会社や研究開発力を持つ企業への出資や買収を目指すもので、M&Aによって米国市場への足がかりを構築しようという狙い。

 大日本住友、塩野義、三菱ウェルとも国内ではガリバーになりきれない準大手クラス。いわば現実の危機感がもっとも強いところで、生き残りのために不可欠との判断から欧米市場に取り組んでいる。