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森下の「ビフィーナ」ブランドの整腸薬と便秘薬

 

 〇五年、万有製薬はエスエスとは逆に医療用医薬品への特化の姿勢を明らかにし、子会社で手がける特殊食品事業をキッセイ薬品工業に売却した。

 特殊食品というのは、米飯やビスケットなどの低たんぱく食品で、腎臓疾患向け患者などの医療食の分野。医療用医薬品に近い分野だが、直接には結びつきの薄い分野を売却することで、医療用医薬品に集中するため。

 キッセイ薬品生活習慣病薬などに力を入れ、また介護、高齢者向けの食品事業で年間一五億円程度を売り上げていただけに、この買収は事業拡大に弾みがついたといえる。

 周辺事業を売却することで、主力事業に特化する。こうした動きはあちこちで起こっている。

 複雑な動きを見せたのは三笠製薬と中外製薬とライオンと大鵬薬品

 医療用医薬品への特化を進める三笠製薬は扱っていたパップ剤や塾骨などの「ゼノール」ブランドの大衆薬部門大鵬薬品に売却した。

 三笠製薬はもともと大衆薬の販売を準大手クラスの中外製薬と契約していた。その中外製薬は、お荷物たった大衆薬部門をライオンに売却した。本来なら三笠も、そのままライオンにシフトするものだ。だが相手先が大鵬薬品になったのは、事業が重複したため。

 中外製薬はお荷物とはいえ、ドリンク剤の「グロンサン」、殺虫剤の「バルサン」、胃腸薬の「新中外胃腸薬」など誰もが知っている有力ブランドを持っていただけになかなか処理の決断ができないでいたが、医療用医薬品への特化集中を進める過程で、売却が決まったもの。

 ライオンは日用品に次ぐ柱として大衆薬部門を掲げており、実際、売上げ二〇〇億円を超えている。

 一方の田辺製薬の場合は、大衆薬のてこ入れのために、森下仁丹の成長薬などの独占販売権を手に入れた。

 森下の「ビフィーナ」ブランドの整腸薬と便秘薬などの大衆薬を自らの販売ルートに乗せて売っていこうというもの。田辺製薬は大衆薬分野で「アスパラ」ブランドで主力のドリンク剤などを販売しているが、これに消化器系を加えて、薬局などに拡販していく方針。また、森下仁丹も同じブランドで化粧品や健康食品を扱っており、分野が違うとはいえ、二社が同一ブランドを扱っているという珍しいケース。

 田辺製薬の場合は、三菱ウェルファーマ塩野義製薬とは方決定的に向か違うことがわかる。

 医療用医薬品に集中するべく他の事業を切り捨てた二社に対して、大衆薬を重要な分野と位置づけ、品揃えを強化しつつ、ローコストで売上げ拡大を図っていこうという目論み。それは同社がかつて大衆薬トップの大正製薬と合併に合意したことでもうかがえる(〇一年、後に破談)。

 さらに、先に述べたように同社はジェネリック分野にも取り組みを始めていることからも、いわゆる新薬メーカーの枠にはまらないビジネスモデルを目指しているように見える。

 その根幹にあるのは営業力とブランド。なにしろ田辺製薬は創業三二〇年を超える老舗中の老舗医薬品メーカー、その信用とブランドカは絶大で、さほど有力な新薬を持だなくても、きっちりと利益を出しているのは、ブランドを背景にした営業力の賜といえる。これをペースに、扱える医薬品はジャンルの制限なく扱おうとしているのではないか。

 そこには新薬開発力の弱さによるラインアップの乏しさや、典型的な国内型販売であることなどの事情も重なる。

 ということは、事業の拡大のために合併、統合も十分選択肢に含めているということで、現在は単に適切な案件がないだけと考えられる。

 なにも厚労省が決めた四つのタイプにむりやり合わせる必要はないわけで、新たなタイプの将来像を描くこともあるだろう。その意味では田辺製薬の動きには注目される。