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好調なイーライリリー:1兆5000億円規模のメガファーマ

 

 巨額な研究開発費といっても、結局は一つ一つの積み重ねである。一つの新薬開発が失敗すれば即、存亡の危機に陥る中小メーカーや医薬ベンチャーと違い、失敗しても別の新薬が成功すればリカバーできる巨大企業に、研究開発体制の甘さがあった。しかも合併による寄り合い所帯だから検証もうまくいかない。

 結果として、金額は大きいが、効率性の悪い研究開発体制になってしまったのだ。

 買収による巨大化戦略の失敗はファイザー白身も認めており、それは〇六年七月に戦略を推進し続け、ファイザーを世界最大の医薬品メーカーに育て上げたてきた大物CEOのヘンリーマッキンネル氏が任期を一年半残して退任したことでわかる。実質的解任である。

 また、ファイザー日本法人でも同じ年、トップの方針が混迷し、人員削減を打ち出したり、それを撤回したりと、どたばたが続いたのも親会社の失敗が波及したもの。現在は社内体制を必死に立て直している段階。

 対照的にイーライリリーは好調だ。

 やはり米国の大手医薬品メーカーで、一兆五〇〇〇億円規模の、大手としては一〇位あたりにランクする企業だが、ここ数年のメガファーマの再編ラッシュとは無縁で、一貫して自主独立路線を歩んできた。

 そのため、単一の企業としての集中力はきわめて高く、〇三年から〇六年までの間に九つの新薬を発売している。

 さらに同社では二〇一〇年までに五品目、一五年までにさらに一〇品目の新薬を出すというから、すさまじい。しかも、重点領域としては、内分泌代謝、がん、中枢神経系など三つの成長分野に絞り込み、その中でこれだけの新薬を投入していく。最初は欧米から発売していくが、その後、日本市場にも積極投入してくるだろう。

 ファイザーなどM&Aを重ねてきたグループが伸び悩んでいるのに対し、やみくもな巨大化を目指すことなく、堅実な経営を続けてきたことがここへきて結実した。

 もっとも、やはりM&Aラッシュに無縁だった米メルク社は、消炎鎮痛剤「バイオックス」の副作用問題で数千件の訴訟を抱え、しかもそのほとんどが係争中という大問題を抱えており、今後、大幅な業績低下は必至の情勢。M&Aによる巨大化志向とは違うが、単独でメルクも巨大化を志向していた。

 メルク社は世界の全従業員の一割にあたる七〇〇〇人を削減、世界三一ある工場のうち五工場を閉鎖、売却するというリストラ策を打ち出している。

 これもまた、メガファーマ志向に対する疑問として現れている。アステラス製薬第一三共の合併後を検証する