医薬翻訳サービス

薬理学、生化学、統計学に精通した翻訳士が対応いたします

免疫抑制剤「プログラフ」の特許切れで収益面で厳しい

 

 世界規模のメガ再編の波に呼応して誕生したアステラス製薬第一三共だが、ここに来て両社ともリストラに踏み切っているのは正しい判断といえる。

 もっとも合併したといっても日本の二社はメガといえるほどの大きさではなく、世界市場全体からみれば、競争に参加できるところにのぼってきた、という程度の段階。メルクファイザーのような巨大企業ゆえの動きの鈍さとは意味合いが違う。

 いわば両社は”検証”の段階に入っているわけで、合併という事実について冷静に分析して、不要な部分をそぎ落とし、必要なところに経営資源を集中することが必要であり、それは次の飛躍のためには不可欠な行為といえる。

 当たり前の話だが、合併は終わりではなく始まりなのだ。

 アステラス製薬では〇六年一〇月に中期経営計画を策定し、一〇年度までの五ヵ年で売上げ一兆六〇〇億円の大台に乗せ、営業利益は現在の五割増しの二八〇〇億円の達成を目指すこととした。

 同社の場合、その計画中に米国で主力の免疫抑制剤「プログラフ」の特許が切れ、収益面で厳しくなるが、それを乗り越えるべく、前立腺肥大症薬「「ルナール」や、抗コレステロール薬「リビドール」、胃炎治療剤「カスター」など競争力の強い大型薬品の拡大などを図っていく。また、過活動膀胱治療薬「ペシケア」も、日米欧で相次いで発売された。ちなみにベシケアは国内では六月に発売。全国に八一〇万人いるといわれれる畜尿障害の患者向けに大型薬品化の期待も高まっている(同時期にファイザーの同薬効の「デトルシトール」も発売された。

 リストラという点では、この期間に国内外一八ヵ所の生産工場を八力所程度削減するほか、生産子会社の統合も進めていく。

 さらに人員削減もすすめ、中計の最終年度までには一一〇〇人を削減し、一万三五〇〇人体制にするとしている。

 同社は合併前からリストラに着手し、合併前の両社の社員数合計は一万六〇〇〇人たったこと、生産工場も合併前に二つの拠点を閉鎖するなど、積極的に手がけてきた。さらに、藤沢薬品は在宅医療事業、試薬事業から撤退、山之内も食品事業から撤退し、医療用医薬品に特化する方針を鮮明にしていた。そしてこの〇六年四月にはついに大衆薬部門の子会社、ゼファーマも三五五億円で売却した。

 一般に、合併企業は合併前の業容を維持するために過酷なリストラは行わないものだ。黒字が出ている事業や人材などを整理するには、業容を縮小することでそもそもの目的のメガファーマの実現と相反するように見える。そもそも合併して売上げを落としたというのは合併失敗のように見えるし、経営に対する印象が悪い。

 ゼファーマなどは知名度も高く、売上げ二三〇億円規模と中堅企業並みの業容を保っていたから、手放すのにはなおさら決断がいったはず。

 ただ、メガが絶対か、というと疑問が残るわけで、アステラス製薬が合併でいけいけの拡大策を採るのではなく、いったん立ち止まり、組織を整備して、次に備える、というのは理にかなった判断といえる。