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融合が進むアステラス製薬

 

 
 医療用医薬品特化をすすめるアステラス製薬はさらに、新薬開発体制においてもリストラを進める。

 合併後の二年で回社が開発中の新薬プロジェクトを中止しだのは実に一〇件にものぼっているのだ。

 今期中に中止しだのは、認知症薬、関節リウマチ薬、骨粗しょう薬、免疫抑制薬、アルツ(イマー型認知症薬の五品目で、すべてF2段階まで進んでいたもの。関節リウマチ薬などは米国ではF3まで進み、アルツ(イマー型認知症薬は同F2まで進んでいた期待の自社開発品だっただけに、コスト削減のために泣いて馬謖を斬ったという感じ。

 その分をより期待の持てる三つの新薬開発に振り向ける。

 過敏性腸症候群薬は日本で承認申請中、欧州ではF2段階。また血栓症予防薬は欧州でF2段階で、いずれも旧山之内オリジンの自社開発品。もうひとつは腎性貧血薬でこれは導入品だが欧州でF2段階。いずれも製品化されれば、大型薬品となる可能性が高い。

 ポイントは開発継続の三品目中二品目が旧山之内の開発品、そして開発中止した一〇品目のうち九品目までが旧藤沢の開発品という点にある。

 一般に合併会社はお互いの出自に遠慮して、片方に寄った経営判断はしないもの。それが動きの鈍さを呼び、合併効果を遅らせる。ファイザーなどはまさにその典型だったが、アステラスに限っては、最初から一つの会社だったかのように融合が進んでいる。それを証明したのが開発プロジェクトの取捨選択の判断だった。

 ドラスティックな経営集中化を進めるアステラス製薬に対して、やはり合併会社である第一三共のリストラはやや遅れている。

 もちろん、現段階では第一三共という持ち株会社の下に旧第一、旧三共がそのままぶら下がっている組織で、完全統合するのは〇七年四月まで待たねばならないため、全社的な根本的なリストラには取りかかれないでいた。

 それでも方針としては医薬品への集中を進めていくことに変わりはない。ただアステラス製薬と違うのは、大衆薬部門も切り離し医療用に完全特化するアステラスに対して、第一三共は大衆薬も重要な柱として、そのアステラスから大衆薬子会社のゼファーマを買収したこと。

 もともと第一も三共も国内型の売上げ構造を持っていた。統合前の海外の売上比率は三共が三七パーセントとメバロチンというお化け薬品を持っていながらこの数字。第一製薬に至ってはニーパーセントにすぎない。

 アステラスの前身の山之内製薬は海外比率が三割程度だったが、藤沢薬品は五割以上を海外で稼ぐという補完関係が成り立っていた。海外の比重が大きいということは巨大外資の威力を身をもって知っているということで、それゆえに先鋭的に医療用医薬品への特化を進めているということだ。

 それに対して第一三共は国内重視型であった分、日本的なウエットな要素を残しているのだろう。アステラスのように一目散に医療用に専念するというドライな気風は持てないというところか。

 とはいえ、先にも触れたように国内大手の課題は海外進出である。

 第一三共もそれは例外ではなく、海外事業を強化するために合理化を進め、収益力を高める必要性は同業他社と変わらない。

 特に、〇九年中に発売を目指している抗血小板剤「CS747」は、ピーク時四〇〇〇億円も期待できる超大型医薬品。メバロチンもメじゃないほどのエース候補である。

 これが製造承認を得るまでにリストラを完了して、海外の販売体制を構築しておかねばならない。従来のように海外への導出や販売委託など海外企業と提携する形で海外に対応していては、短期の利益面で劣るだけでなく、中長期的に収益力の向上につながらない。

 そのために、完全統合までに現在一万四〇〇人いる従業員数を九〇〇〇人にスリム化することを発表した。それと同時に医薬品事業と関係の薄い分野の切り離しを進めており、対象となる一五の子会社のうち一一社までは売却のめどは立ったが、これも〇七年四月の完全統合までにすべて売却する意向。

 売却したのは、包装資材会社、小麦粉そうめんなどの食品会社、ベビーフード会社、出版会社、物流会社、ベビーフード製造会社、コレステロール検査薬会社、放射性検査薬会社、食品添加物会社、農薬事業会社など。

 特に農薬事業の三共アグロは売上げ二一一億円規模、コレステロール検査薬の第一化学薬品は二二八億円、放射性検査薬の第ニフジオアイソトープ研は同一七二億円と、切り離すには惜しい規模だが、すっぱりと売却したのはやはり医薬品特化の姿勢を鮮明にして士気を高めることも重なる。

 また、国内九つの工場を一つの子会社に集約して、今後のアウトソーシングに対応するなど、生産の合理化にも着手している。

 同社では現在、中期経営計画を策定中で、〇七年早々にもまとまる予定で、一段進んだ合理化も盛り込まれていると考えられる。