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アレルゲンの塩基構造の類似性

 

 現行の検証システムでは既知のすべてのアレルゲンについての塩基構造の類似性についての異同を調べている。これは相当に確度の高い処理であり、普通問題になるほとんどのアレルゲンの持ち込みを回避することが可能であると思われるが、遺伝子組み換えが広範囲に行われる場合には未知のアレルゲンが検知できないまま、最終製品に出現する可能性がないとはいえない。また、人の感受性にも非常に多様性があるので絶対安全であることはできない。このような場合に、どのような対応が必要なのか検討を要する。

 人に特有のアレルゲンは動物実験では検知することはできない。それだけにアレルギー性の問題を軽視することはできない。遺伝子組み換え作物・食品でアレルギー性がないとして市販されているものは、実は特有の素因を持った誰かが、どこかで特定のアレルギーショックを起こすかもしれない若干の可能性を持った新規の食品であることは覚悟しておくほうがよいだろう。現状では、アレルギーに関して絶対安全といえるほどの完璧な検証法はない。

 ある有名な開発企業の代表者があるシンポジウムで、遺伝子組み換えによってつくられた蛋白質は消化管の中に入ると胃液で分解されてばらばらになり、アミノ酸になって食物の蛋白質とまったく同様に吸収されるから何らの心配もない、また、かりに昆虫に対する毒性のある蛋白質が人の体内に吸収されたとしても、人にはその毒素に対する受容体がないから無害であるなどと述べて、主婦が大部分を占めていた会場の聴衆を煙にまいていた。

 しかし実際は、それほど単純なことではない。微生物などが生産するタンパク質は人に対して、いつでも無害であるとは限らない。エンドトキシンなどといわれるものが、その代表的な事例である。アミノ酸に分解されるから無害である、とはならない。蛋白質の毒性の証明は、現状では、まだ合成化学物質の場合のように方法論的に確立された段階にはいたっていないというべきである。

 現行の認証制度では、遺伝子が有害であることを証明されている微生物から採収されていないことが求められている。しかし、有害性と無害性には必ずしも、いつでも一定の線引きが可能なわけではない。

 さらに、蛋白質は胃液で分解されるというが、胃液の分泌が不十分である人もある。また、消化管の粘膜組織が未完成な乳幼児の場合、胃液が食物、飲料によって希釈されている場合、摂取された遺伝子組み換え作物・食品が完全に分解されないで一部蛋白質として、あるいは、ペプチドとして吸収されて血管内に入る場合がありうる。これらの場合に、血管内に取りこまれたこのような高分子化学物質が、どのような挙動を取るかは慎重に検証される必要がある。

 受容体が特異的で標的生物以外の生物では問題にならないといわれるが、これにも疑問がある。