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男女(雌雄)の存在を無意味にする遺伝子工学

 ウイルムート博士のクローン羊の誕生が科学的に重要であるという真の理由が、雄性の関与が一切ない状態で、すなわち雌性の領域だけで哺乳動物の次の世代がつくれたという点にあることは周知されているが、この事実は生命倫理の点でも大きな問題を提起している。

 雌雄が、あるいは男女が存在して、そこに愛情が、思慕があって、性的行為が成立し、妊娠し、出産するという生物の、そしてもっとも完成された生物である人の次の世代が生まれるという、そのことによって生態系が、そして人類の文化までもがつくられてきたという宇宙次元的な生物の歴史を、この遺伝子工学の技術が変えようとしている。遺伝子操作だけで、両性の関与なしに雌雄、男女が生み出せるというこの事実も、また歴史的に維持されてきた生命倫理の根幹に抵触するものであるといえるだろう。この傾向を放置することは、愛情の結晶としての次の世代の誕生ということの意義を希薄にするかもしれない。愛情とは関係のない欲望だけが、性的交渉の主要な動機となるかもしれない。