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発癌性、特殊毒性試験の成績関連の資料

 

 

従来のガイドライン審査よりも今回の法的審査が内容的にも厳格であり、消費者の要請にかなうものでなければ無意味である。審査内容、審査水準が同様であるというのなら、従来のガイドラインでの届け出という事務処理を正確にしさえすればよい、ということになり、企業側にとっては単なる形式的な取り扱い方法の変更に過ぎないことになる。安全性の審査の法的義務化ということが新規食品としての遺伝子組み換え食品を、あらためて正確に位置づけるということを意味しているのであるならば、ポジティブリスト・システムによる安全性審査の常道として、実験動物での毒性試験を第1義的に実施するように規定しなければならない。

本来はアレルギー試験などでも一定の試用期間を設けて疫学的な情報を収集して、そのあとで認可を与えるというほどの慎重さが求められる。動物実験の結果を人にあてはめる外挿が困難であり、長期的な摂食による慢性毒性の有無がどのように検証され、認証されるかが問題であることは事実であろう。化学物質の慢性毒性などの検証については一応の毒物学的な実験方式が確立されているが、生物由来物質の長期毒性の検証については、なお理論的にも、実際的にも論議が必要であり、この点をどのようにクリアするかが問題であることは認める。したがって実施に先立って、国が委嘱する関係分野の専門家による検討と基礎的な研究が必要であることはいうまでもない。しかしいずれにしても、ハードルを乗り越えて、消費者の最大関心事である毒性試験を第一義的に位置づけることの必要性は十分に強調しておかればならない。これこそは本来は食品衛生調査会が全力をあげて取り組むべき基本的な課題であったというべきであろう。

安全l生の確認に関する法的な審査基準の構成は、次のとおりでなければならない。          、・

①審査に際して提出を必要とする資料として、以下のものを規定しなければならない
 a)動物飼育実験での急性、亜急性、慢性毒性試験に係る関連資料
 b)発癌性、特殊毒性試験の成績関連の資料
 c)生産物の既存のものとの同等性に関する資料
 d)組み換え体の利用目的および利用方法に関する資料
 e)宿主に関する資料
 f)ベクターに関する資料
 g)挿入遺伝子およびその遺伝子産物に関する資料
 h)組み換え体に関する資料
 i)第三者の研究機関などでの参考文献と資料

②認可にあたっては以下の事項を定める。
 a)規格、基準の設定
 b)分析、判別方法の指定
 c)公定書への記載
 d)表示の義務づけ

③輸入検疫と市場での監視にあたっては以下の事項を定める。
 a)検疫業務内容の規定
 b)収去、検査、監視、指導の方法

 今回の答申での審査基準案では、以上のような食品衛生学にもとづいたポジティブリスト・システムでの審査、検証の常識的なあり方が無視ないし軽視されており、組み換えられた食品自体の安全性の審査というよりも組み換え遺伝子が発現する形質の問題部分を検出するための審査に終始している印象がある。その点では、これまでのガイドライン制での実質的同等性の証明に重点を置いた審査のあり方を一歩も出ていないといわざるをえない。