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生態学的な影響についての審査

 

 近々審査の対象となることが予定されている高ラウリン酸含有ダイズやアミノ酸バランス調整米なども、以上の(3)項の1)にさえも抵触しないというようなあいまいな解釈が行われることが危惧される。

 また、組み込まれる「遺伝子の由来、性質などが明らかであること」などの表現も使われている。どこまで追求することによって由来、性質が明らかにされたといえるのかも不明である。

生態学的な影響についての審査は農水省ないし環境庁の担当であるかも知れないが、今日では実際に環境影響に配慮して米国の環境庁遺伝子組み換え作物の作付け制限を行っているように、ガイドラインが設定された当時とは、大きく情勢が変化している。

 したがって、次のような事項についての具体的な試験項目と試験方法の規定が必要である。

遺伝子組み換え作物ないし花粉などが、耕作地近辺の生物全般に何らの影響も与えないこと
②耐性生物を増加させないこと
③優勢雑草類をつくらないこと
④組み込んだ遺伝子の環境内拡散によって何ら問題が生じないこと
抗生物質耐性遺伝子によって生じた交差耐性が、たとえば腸内細菌や抗生物質感受性の細菌などに発現しないこと

 いわゆる、生物学的多様性を阻害するような遺伝子操作生物の拡散を防止することについての世界的な世論の高まりを無視してはならない。レフジー地帯(遺伝子組み換えをしていない同種の作物を植えた場所)をつくればよいというのも結局は、一時的な対策であり、これが多数個所で一般化するような状況を考慮すると問題があるといわなければならない。

クローン生物、細胞融合生物、その他のバイオ関連食品などには全く問題がないといえるのか。これらの検証はしなくてもよいのか、再検討が必要である。

育種、品種改良生物もまた遺伝子構造の変換による新規生物であるといえるが、全く問題がないとはいえない。少なくとも生命操作食品であることを消費者に明示するための、何らかの表示や規格基準を設定するべきではないか。

後代・交配種の取り扱いについては疑義がある。一般に後代・交配種の場合には第7章図13 (p. 156)に示すような問題があるが、告示案の第5条では後代・交配種の取り扱いについて、次のように示されている。

 すなわち、すでに審査を受けて認証された品種と、これに伝統的な育種の手法を用いて掛け合わせた品種(後代・交配種)とが、次の条件を満たすものについては、安全ドIEの審査を経たものと見なす。

①組み換えDNA技術により新たに獲得された性質が後代・交配種において変化していないこと
②亜種間での交配が行われていないこと
③摂取量、食用部位、加工法などの変更がないこと

 ここで問題になるのは、後代・交配種の構成成分が相当に異なるような場合でも、[性質が変化していない]から実質的同等であって問題がない、というのか、一体「性質」の定義とは何か。本来、後代・交配種をつくるのは、何らかの「新しい性質」を獲得させるためであるのに、①の条件を示しているのは矛盾していないのか。①、②、③の条件が守られていることを、誰が、どう判定するのか。第5条の条件にかなった後代・交配種の使用についての届け出や申請の規定もなく、第5条に該当するかどうかの審査の規定もないのであれば、事実上後代・交配種は野放しということになってしまう。