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モニタリング検査:国立医薬品食品衛生研究所

 

 

 厚労省は国立医薬品食品衛生研究所の指導のもとに横浜・神戸検疫所輸入食品検疫検査センターで、PCR法による、輸入時のモニタリング検査を実施しており、これまでに次のような範囲で検知可能であるとしている。

①日本で安全性を確認しているものは検知可能

②外国で安全性を確認しているものはシークエンス(遺伝子配列)の把握により検知可能

③国内外ともに安全性が未確認のものは通常用いられるマーカー遺伝子の増幅により検知の可能性がある

④マーカー遺伝子などでも全く未知のものは検知が不可能である

 いずれにしても、モニタリングに際して、実際に検体がどのようなロット単位で、期間をおいて採取され、どのような方法で検査されるかが注目されるところである。

 今日輸入されている膨大な種類、品目の作物、食品、加工食品の、遺伝子組み換え成分混入の有無とそれらの安全性を完全に把握することは不可能に近いことであり、また我が国が要求する資料、データを輸出国がすべて提供できるという保証もないのであるが、遺伝子組み換え食品の輸入検疫ではこのような困難な状況に、あえて挑戦することになる。

 先進国は輸出食糧、作物、食品の遺伝子組み換え成分などの混入比率を明らかにすることは極めて煩雑であり、したがって、そのために必要な分析、判定コストの負担を貿易障壁であるとして、我が国を非難することになるであろう。また途上諸国は、米国などで開発された原種を現地産のものと交配したものを栽培する可能性が大きいので、このような後代・交配種の形質が不変であることを証明するこどや、組み換え、非組み換えの比率を示すための資料を作成することが困難であるとして、我が国の今回の措置を同じく貿易障壁に該当するというかもしれない。このように国際的な連携が取りにくいなかで、国民、消費者が信頼することのできる輸入食品の検査、判定、検疫などをどのように効果的に行うかが問われている。

 国が検知手段としてあげているPCR法でも、現状では混入比率5%以下を混入していない、と判定する予定であるとされている。したがって、現時点での遺伝子組み換えにかかわる輸入食品の検疫では、5%以下の不分別部分を許容する結果になることを承知していなければならない。もっとも将来的には検出感度が上昇して、1%以下でも検知できる可能性があり(最近では0.1%まで検出できるようになったといわれている)、他方で定量法の検討も進んでいるといわれる。こうした技術の進歩も随時加味して、混入比率の判定が行われなければならない。

 いずれにしても今回の国の表示案では、実際に検出できる技術的な限界に即したAnalysability (検出可能性)の考え方を採用している(実際に表示されるものは極めて限られたものとなる)。したがって、検疫現場での届け出による資料の確認と分析検査を厳格にして、当初の混入の有無と比率を把握し、それ以後の商品の取り扱いに即した混入率をフォローできて、最終の商品についての混入の事実を証明することのできるTraceability (追跡可能性)の立場に立ってはいないにの場合には不分別という表示はありえない。全商品について遺伝子組み換え食品を「含む、含まない」のいずれかに区分できる)。消費者は遺伝子組み換えの事実があったこと自体を知りたいのであるから、輸入以後の製造加工過程で特異なDNA、蛋白質部分が分解していて検出不可能なものであっても、遺伝子組み換え原料が使われたという履歴自体を知ることのできる全面的な表示がTraceabilityの立場に立って行われることが最も望ましいといえるだろう。