医薬翻訳サービス

薬理学、生化学、統計学に精通した翻訳士が対応いたします

安全性の検証、規格基準の確認、適正表示の認知

 

 輸入検疫とともに重要なのは、我が国では事実上輸入品に限定されている遺伝子組み換え食品の市場での監視である。当面は農水省が管轄するJAS法での品質管理のための表示が正確に行われているかどうかが問題になるが、さらに今回の厚生省管轄の安全性の検証が完了した商品であるかどうかの監視も必要になる。農水省の監視がどのように行われるかは、いまだに明らかにされていないが、厚生省の公衆衛生学的な見地からの表示の市場での監視などは、地域の保健所などでの食品衛生監視員の任務となるであろう。

 しかし、現状でさえ監視要員の不足がいわれているなかで、どのように遺伝子組み換え食品関連の任務を遂行するかが問われることになる。安全性の確認や表示の法制化は確かに必要であるが、その実、市場の現場で消費者が信頼するに足るような実績を上げることができなければ、ほとんど意味はない。今後消費者側では、食品衛生監視員の増員や、検証水準の向上などの体制の整備が確実に行われているかどうか、に注目しなければならない。228

 遺伝子組み換え技術を応用してつくられた食品は、我が国の現状では杣入食品に限られている。したがって、安全性の検証、規格基準の確認、適正表示の認知などは、当面輸入食品対策に集約されることになる。

 輸入に際しての届け出などでは、遺伝子組み換え食品についての、安全性の認証方式や安全性の確認方法の学理的な水準、さらに遺伝子の組み換えの有無や混入率などが関連する表示の方式などが、輸出国と我が国とで一致しない場合が大半であり、このままでは相当な混乱が生じることが懸念される。また、遺伝子組み換え技術が途上諸国に移転され、遺伝子組み換え種子による生産物が我が国に輸入されてくるような場合も近々想定されるが、いずれにしても、我が国の輸入届け出制度の実際がどのようなものになるかが、国際的に注目されるようになるだろう。

 輸入食品対策では輸出和手国との調整が必須であり、そのための国の取り組みが不完全であることは許されない。他方で、我が国の法的義務化を事実上支える監視、調査、検知法、分析技術などの水準が高く、予想されるトラブルに備えることが可能であることが必須の条件となる。この意味では、WTO協定やコーデックス委員会の場に今回の国の方針を正確に提示して、各国との調整をはかる必要があるのはいうまでもないことであろう。