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コーデックス委員会の遺伝子組み換え食品部会が開催

 クローンなどの新規食材について、いちいち法改正をすることは煩雑であるから、告示(食品衛生法第7条付則)を行う方式を採用したいと述べているが、告示によってさえ、以上にあげたように今後激増する新規食材について、いちいち規格基準を追加すること自体が非常に煩雑になる恐れがある。もちろん、新規食材ごとに法改正することはいっそう複雑であり、したがって結論的に、新たに生命操作食品を一括して取り扱う新規な法律である「生命工学応用食品安全法」を制定して総合的に対応するほうがよいと考えられる。

 好むと好まざるとにかかわらず、食糧生産国での生命工学応用食材の生産増、したがって輸出増に即して、これらを輸入する立場に置かれている我が国での公的な対応が強化されなければならないのは当然のことである。

 1960年から70年代にかけての緑の革命が提供したさまざまな教訓を正しく受け入れて、当面、生命工学といわれる、この画期的な技術の暴走を阻止するために全力を傾注しなければならない。そのうえで、この技術が安全陛、有用性、必要性の観点から正しく評価され、厳重な規制のもとにおかれて、真に消費者にとって必要であるといえるような社会的な基盤がつくられることを切望してやまない。

 米国に、初めて遺伝子組み換え食品が登場してから5年の歳月しか経過していない。現時点において、最も重要なのは開発科学が先行して検証科学が取り残されるような結果にならないことであり、あくまでも慎重な対応を怠らないことである。その意味では社会的、公的な体制の整備が最も重要であり、従来のように、このような画期的な食材についての安全性の認証が企業の任意に委ねられ、消費者の不安をよそに、表示さえもない状態で、それらが自由に市販されることが許されて、公的な管理、対応が非常に甘い状況で事態が経過してきたことは非常に許し難いことであった。

 この際、EUの一部の研究者集団が、検証科学の進歩を含む、社会的、法的、行政的な体制の整備が進むまでは、遺伝子組み換え作物栽培、普及、食品としての商品化、実用化などの「モラトリアム」、すなわち一時凍結を呼びかけているような、慎重な姿勢を、我が国でも学ぶことが重要であると思われる。

 今回、農水省が品質表示の義務化に踏み切り、遅まきながら厚生省も安全性の認証を法的な義務体制のもとに置くことになったのは好ましいことであり、歓迎するべきことであろう。しかし、本文中に示したように、重要なのは、表示される商品について、実際にどのような内容での安全性の審査のための規格基準が定められるのか、ということである。安全性の認証がこれまでの指針での、実質的同等性の判定程度ですまされるようなことがないかどうかである。輸入者の提出する資料を全而的に受け入れて、形式的に審査をすませるような既存の輸入検疫の体制を放置するかどうかである。市場での監視や調査がどのように行われるか、についても実際的な経過を慎重に見守る必要がある。

 さらに、このような全面的な法制化のもとに遺伝子操作食品をおいた場合に、WTO体制のなかで、どのような国際的な調整が必要になるかが問われている。これは単なる国内的な新技術、新食品の問題として取り扱うことができない重い課題であるといわなければならない。政府もまた、この点についての認識を新たにする必要があるだろう。 EUや米国における最近の情勢の変化にも着目して方向を誤らないようにするとともに、常に遺伝子組み換え食品の摂食者として、その恩恵と被害を受け取る消費者の立場に立って配慮しなければならない。

 コーデックス委員会遺伝子組み換え食品部会が我が国で開催された。しかも、我が国が議長国をつとめた。今後とも、政府が消費者の意向と要請を受け入れて、人類の食生活の中心課題の1つとなるであろう遺伝子組み換え食品の安全性の確保のために、適切な役割を果たすことが期待されている。