医薬翻訳サービス

薬理学、生化学、統計学に精通した翻訳士が対応いたします

農水省表示の問題点

 

 組み換えDNAやそのDNAによって産生された蛋白質が残留した農産物や加工食品(遺伝子組み換え食品そのものを食する場合)は、分別されている場合には表示の義務化が決められた。しかし、加工食品については表示対象が指定食品に限られている。指定食品として制限するのではなく、組み換え食品が使われるすべての商品に表示対象を広げる必要がある。

 また、組み換え食品を原材料として重量で5%以上、かつ上位3位までのものしか表示の対象とはならないなど、その制限が緩すぎて表示対象が狭ばめられた点にも問題が残った。さらに、加工業者向けの商品や組み換え作物は対象とされておらず、表示対象が限定されている。また、組み換え技術を利用して生産された食品添加物も指定対象から外されている。

 日本の表示はEUの場合と比べて限度が甘い。 EUは2000年4月から1%以上の組み換え作物が混入した場合は、すべての加工食品、食品向け原材料、添加物などに表示が義務づけられ、農水省表示とは際立った差が見られる。 農水省表示では、組み換え作物を原料として製造された食用油、しょう油、でんぷん、酒類などの加工食品では、表示は不要であるとされた。農水省の判断は、製造・加工の段階で、原料に使われた作物中の組み換えDNAや産生蛋白質が分解されたり除去されるために、組み換え作物が使われたかどうかの判定が困難になり、表示の意味がなく、加えて技術的、経済的にも困難であるとするのが根拠となっている。

 加工や除去によって、製造・加工の段階でDNAや蛋白質が分解されたり除去されるとしているが、この点については疑問が残る。組み換え作物が原料として食品に使われている限りは、組み換えDNAや組み換えDNAによる産生蛋白質ばかりでなく、毒性が未知の不純物などに残留する可能性が考えられ、安全性の点でも懸念が残る。このように、食品中にDNAや蛋白質が残留するか否かによる分類では、表示対象食品は大幅に減少してしまうことも問題である。消費者が知りたいことは、組み換え作物が食品に使われたかどうかである。

 そのためにも、表示を最終食品中のDNAや蛋白質の残留で決めるのではなく、組み換え作物が原料として食品に使われたかどうかを判断基準として表示対象を決めるべきであろう。生産・流通段階から、原料にも表示義務を課すほうが合理的である。それによって最終商品としての食品に、組み換え作物が使用されたか否か、混合割合など、より詳細な情報提供が可能となる。

 

広告を非表示にする