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分子生物学や遺伝学、細胞化学の進歩に伴う技術的問題の発見

 

 現在から将来にかけての分子生物学や遺伝学、細胞化学についての理論的な研究の進歩によって、遺伝子組み換えに伴う技術的な問題点がさらに多数発見され、それらを克服する方法が考案されて、有用度のより高い商品が登場するようになるかもしれない。また他方で、安全性の確保のための検証技術の水準が次第に上昇して、開発技術との平衡性が確保されるようになることも期待される。たとえば、新規な遺伝子の組み換えに当たって、指定したDNA上の特定の位置に、標的遺伝子を正確に挿入することや標的遺伝子以外の遺伝子の持ち込みを正確に排除することや、さらに生成した蛋白質、新規組み換え生物の安全性のより高度な検証方法の開発などの重要な検討課題が数多く残されている。

 これまでの公的対応のあり方には、問題がみられた国のガイドラインシステムによる対応では、消費者は遺伝子組み換え作物・食品の安全性についての容疑を完全に払拭することができなかった。また、科学技術庁農水省、厚生省の3者による任務の分担に当たっても、法的な権限のないなかで、できることは限られている。将来的に公的対応の水準が向上して、有用性についての、より高い保証をかちとることができるようになるためには、その前提として、消費者、国民の意識の向上と世論の高揚が必須のこととなるであろう。

 先端技術としての遺伝子組み換えの技術自体の向上に最も必要なものは、社会的な秩序形成にかかわる公的システムの整備である。

 我が国の公的認証システムの形成は、従来からあらゆる安全性確保分野で遅れがちであり、特に遺伝子操作の分野では米国からの圧倒的な影響力が政治、経済分野でも認められてきただけに、今後は開発科学の偏向を阻止するための法的、行政的なシステムを整備するために努力することが必要になるであろう。

開発と商品化にかかわる企業の姿勢

 現在のところ、遺伝子組み換え関連の開発企業は先進国に限られている。我が国の研究開発は敗戦後欧米に著しく立ち遅れていたが、最近では研究者、研究機関などの特許も次第に増加しており、今後は我が国の企業も漸次開発事業に参入してくるものと思われる。

 遺伝子組み換え作物・食品の輸入、流通、加工、販売関連の企業は現時点でも相当数あるが、それぞれに消費者の問題意識に相応した対応が必要になっている。遺伝子組み換え作物・食品についての安全性や生態系への影響に関して、相当に問題があるといわれるなかで、有用性を先行させるような取り扱いがなされないような節度が要求されている。消費者の選択の権利のための表示問題についてさえ理解が不十分な状態では、遺伝子組み換え関連の商品を大規模に展開することはできないだろう。

代替技術、代替商品についての検討

 安全性が確保されたうえで、さらに現行の作物・食品よりも有用であり、必要でもあると判断された場合に、遺伝子組み換え作物・食品の利用が容認されることになる。その意味では将来的にどのような動植物について、どのように、安全性に裏づけられた有用性が具体的に検証されていくかが注目される。