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食品関連物質への利用

 

 遺伝子組み換え技術は本来、食品関連分野での応用を主な目的として発展してきた。したがって、既存の食品の特徴に関連した遺伝子を操作することによって、商品価値のある新規食品関連物質を製造することに最も多く利用されてきた。

1. 天然添加物の製造

 天然の色素、香料、味覚成分、有効成分などを遺伝子組み換え技術によって製造する方向での研究の進歩は著しい。

 この場合、少なくとも食品添加物として利用されることを目的とする天然添加物については、食品衛生法に従う認証が正確に行われなければならない。しかし、我が国では遺伝子組み換え技術によって製造された食品の場合には、すべて食品衛生法では拘束されないガイドライン制度によって、「実質的に同等」であればよい、とされており、明らかに問題がある。遺伝子組み換えによって作られた食品関連物質には食品添加物としての格付けが与えられていながら、実際には審査にあたって慢性毒性などの試験データなしに容認されてきたのは極めて不合理である。

 国の食品衛生法によらないで認証された、遺伝子組み換えによる天然添加物などの開発には疑問があるといわなければならない。

2。アミノ酸蛋白質酵素の製造

 遺伝子組み換え技術によって特定アミノ酸蛋白質酵素などを製造することができる。微生物培養という割合に単純で工業化が可能な手法をとる場合、原理的には目的遺伝子を組み換えることによって新規のアミノ酸蛋白質酵素などを大量に効率的に生産することができる。また人特有の遺伝子を動植物に組み換えて、各種の生体関連高分子化学物質を作ることもできるようになっている。今後、この分野での技術的な展開は予想を上回る速度で行われることになるであろう。我が国でも最近、北海道大学やグリーンバイオ研究所などが動物の遺伝子を植物に組み込んで、肝炎の治療に効果のあるインターフェロンなどの動物性蛋白質を作らせる研究に着手したと報じられている。

 遺伝子組み換え操作による生産物のうち、天然添加物として認証されたものには投与量などについても特別な制限がない。したがって、もしも遺伝子組み換えに起因する有害化学物質が存在している場合や、または培養中に問題化学物質が混入しているような場合には、たとえば、トリプトファン事件のような被害が食品添加物によって発生する可能性がある。遺伝子組み換えによって作られた製品の純度、品質なども、食品衛生法にもとづいて厳格に規制されることが必要である。

 結論的に現行の認証方法によるかぎり、食品添加物など食品関連物質の製造分野への遺伝子細み換え技術の応用には問題が残る。有用性を期待するためには、まず公的な認証システムの抜本的な改変を必要とする。遺伝子組み換え作物・食品の安全性の認証を食品衛生法にもとづいて義務化する方針を公表した。したがって、厚生省はこれまでにガイドラインによって食品添加物として認証したキモシンやアミラーゼなどの安全性の審査を法律にもとづいてやり直すべきであると思われる。