医薬翻訳サービス

薬理学、生化学、統計学に精通した翻訳士が対応いたします

マーカー遺伝子である抗生物質耐性遺伝子の交差耐性の移行

 

 農業、食糧分野において、開発関連の企業や研究者は遺伝子組み換え作物・食品の開発分野を最も有用性に富むものとして位置づけている。実際、今日的な遺伝子組み換え作物・食品の開発は農業・食糧分野に主力が置かれており、次のような事項をあげることができる。

育種技術の効率化

 従来の品種改良などにかかわる育種技術では、目的とする性質や特性を移入するために、交配を行い、その結果を観察し判定して、さらに性質や特性の定着を目指して同様な交配を繰り返すことが必要であった。これに対して遺伝子組み換え操作では標的遺伝子を特定し、これを標的生物のDNAに挿入することによって目的を達成することができる。したがって、従来の育種では長時間を要していたものが遺伝子糾み換え操作では、短時間で正確に目的を達成することが可能になったとされている。

 しかし、従来の育種技術では、交配の結果に対する長時間の観察が精密に総合的に実施されるために、問題部分の発見が容易になる。また交配するのは同種、あるいは近縁の種の間であって、したがって比較的緩徐な特性の移行が見られる、などの有利さがある。しかし、遺伝r・糾み換えによる場合には、種属の壁を越えた生物間の遺伝子の移行に伴う、未知の危険性が懸念されることになる。標的遺伝子以外の遺伝子が操作llのミスによって移行するようなことがないとはいえない。マーカー遺伝子である抗生物質耐性遺伝子の交差耐性の移行も問題を含んでいる。また、作物自体の安令性や生態系に対する影響などについても特別な注意が必要になってくるだろう。


省農薬、害虫抵抗性の付与

 害虫に対する生物毒素を生産する微生物などの遺伝子を、各種の作物のDNAに組み込んで特定の害虫を防除することができる。結果的に、殺虫剤農薬の散布を節減することができるとされている。農家の健康管理、環境汚染の防止、農薬散布作業の省略、農薬コストの節減が可能になるというような有用性があげられている。

 しかし、米国では、気候が異常である場合や害虫の大発生が起こった場合には、害虫抵抗性の遺伝子組み換え作物の殺虫機能にも限界があることが明らかにされている。また、標的害虫以外の昆虫などに被害が出ることが実験的に証明されているが、これは生態系の維持にとって好ましいことではない。さらに、害虫抵抗性遺伝子が実際に近辺の類縁植物に移行したという報告も行われている。実際的に栽培作物の害虫は複数種類あるのだから、農薬散布を全く止めることはできないし、害虫の大発生も予期できないので、農家は農薬の使川を完全に中止することができない。したがって、現時点では農薬節減についての町川性が確立されているということはできないだろう。

除草剤耐性の付与

 土壌微生物が除草剤を分解する性質を獲得した場合、この微生物の除草剤分解性の遺伝子をダイズ、トウモロコシなどに組み込んで除草剤を散布しても枯れることのない作物をつくることができる。

 実際に米国で遺伝子組み換えダイズの畑を視察することができたが、特別に畝が作られていない広大な畑で、除草剤耐性ダイズの種子が散布された場合、雑草は除草剤で枯死するが、ダイスは全く影響を受けずに育つということであった。いわゆる不耕起栽培も可能になるということである。しかし、このような遺伝子組み換え作物は省力化には貢献しても、除草剤と一体として種子が供給されるので、各社とも自社の農薬の売り上げをあげることと並行して種子を販売することになる。したがって、農薬の使用量を削減することに貢献するかどうかには疑問がある。