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品質改善、成分の増減

 

 特定の有効成分を増強したり、有害成分を減少させるような遺伝子組み換え技術が進歩している。従来、長期間を要した育種、品種改良が短期間に可能になった。特定必須アミノ酸や脂肪酸、味覚成分を増強したりすることや特定のアレルゲンを除去することも可能になっている。

 しかし、コメに不足する特定アミノ酸を増強するために、このアミノ酸を生産する遺伝子を豆から取り出して、コメのDNAに組み込むような遺伝子組み換え技術が一般化することに意味があるのかどうか疑問がある。今日の栄養学では、食材を多品目組み合わせて食べることがよいとされているが、以上のような遺伝子組み換えコメをつくる方向は、やはり不自然である。単純にAの成分をBに組み込めば有用性が増大するという考え方が、いつでも正しいとは限らない。遺伝子組み換え技術の乱川にならないようにする必要があるだろう。

耐干・耐暑・耐寒性作物の開発

 地球環境の温暖化などの環境の変化や人口の激増、途L国での肉卵乳などの畜産関連需要量の増加などの多数の理由によって、将来的に食糧不足がグローバルに発生する可能性があるといわれる。もちろん、この点についてもさまざまな論議があり、21世紀初頭と中期と後川とでは相当に状況が異なってくるものと思われる。

 いずれにしても、耐干・耐暑・耐寒性を持たせるための複数の遺伝子の組み込みに成功すれば、環境変化に即応できるような作物を作ることは可能であり、その方向での研究を進めることには意味がある。地球温暖化によって、従来の作物の耕作可能緯度地域を変更せねばならない|時がくることが予想されるし、食糧を増産するために従来は耕作が不可能であった高温、寒冷地域に作付けすることが可能な新品種を開発することも必要だろう。

 ただし、温暖化対応のためには、温暖化の理由となる多数の要因に対応するような特性を持たせるために、多数の遺伝子の組み込みを必要とするであろうから、決して単純な作業ではないだろう。また、地球の温暖化自体を防止しなければ、農業生産全体が行き詰まることは明らかであり、若干の遺伝子組み換え作物の開発によって、食糧問題が解決されるなどと考えることはできない。

 現状の遺伝子組み換え作物では、種子を採取して次年度に播くことができる。したがって、種子供給企業と農家が協定を結んで再播種をしない方式がとられてきた。しかし最近になって、次世代の発芽を完全に阻。止するための遺伝子操作が行われた椰子が開発されるようになった。これは「夕-ミネーター遺伝子を組み込んだ「Suicide Seeds : 自殺種子」などと呼ばれている。

 遺伝子組み換え技術の、このような適用に有用性があるということができるかどうか、種子供給片としての企業にはメリットがあっても、農家や消費者にとって必ずしもメリットがあるといえるかどうか、重大な疑問がある。たとえば、このようなターミネーター技術は原理的にすべての作物にとって適用が可能であると思われるが、そのような趨勢が将来的な食糧農業問題にとって好ましいものといえないことは明らかであろう。最近になって、これを開発したモンサント社に対する批判が強くなって、ついに同社はターミネーター傾向ノ)開発を凍結することを発表したといわれる。当然のことであると思われる。

 遺伝子組み換え技術を推進する側の論拠としてこれまでにも宣伝されてきた。しかし問題はそれほど単純ではない。