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バイオベンチャー『シリックス』の活躍

 

 シリックスは1999年に設立された歴史の浅いバイオベンチャーです。その設立の背景には、創薬のパラダイム転換がありました。シリックスが当初手掛けたのは、タンパク質の3次元構造解析です。人間の体は突き詰めるとタンパク質という部品からできています。そして、薬のはたらきは「カギとカギ穴」に喩えられます。薬がカギだとすると、カギ穴はタンパク質です。体の中にある特定のタンパク質のはたらきを促進したり抑制したりするのが薬のメカニズムですが、そのためにはまずカギがカギ穴にぴったりと結合する必要があります。タンパク質の3次元構造がわかっていると、そこにカギとして結合する薬を合理的にデザインすることが可能になります。従来の医薬品開発では、無数にある候補化合物とタンパク質の結合を、文字通り試行錯誤で探していましたが、シリックスのアプローチはこれとは発想が異なります。

 折りしもヒトゲノムの解析によってタンパク質の設計図が明らかになり、タンパク質の測定技術も急速に進歩していました。タンパク質の3次元構造の解析のスピードも飛躍的に高まりました。タンパク質の設計図である遺伝子は、およそ3万種類あると言われています。

 シリックスはこれらを病気の治療につながりそうなものから網羅的に解析することに特化するベンチャー企業として設立されました。シリックスはベンチャーキャピタルなどから短期間に100億円を超える資金を集め、タンパク質の3次元構造に基づいて薬をデザインする創薬のプラットフォームを築き上げました。そして、自らそのプラットフォームを活用し、新薬候補物質を見出していきました。その1つがSYR-322です。武田薬品工業はシリックスの買収に至った理由として、SYR-322などの具体的な新薬候補物質を保有していることに加え、今後も新薬候補を次々と生み出すプラットフォームを有している点をあげています。