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降圧薬(血圧降下剤):新しいタイプのARBに期待がかかる

 

 治療効果の鳥い降圧薬(血圧降下剤)の登場により、脳血管疾患による死亡忠者数は劇的に減少しました。脳血管疾患は大きく2つに分けられ、脳内出血と脳梗塞があります。脳内出血は、字のごとく脳の血管が破れて出血し、死亡に至るものです。脳梗塞は、脳の血管がつまり、血液が脳細胞に行き渡らず、脳細胞が破壊されてしまうものです。手遅れになると死に至ります。薬によって血管を広げ、血圧を下げることで、脳の血管を破れにくくしています。

 1966年のインデラル(大日本住友製薬)、1974年のヘルベッサー(田辺三菱製薬)、1976年のアダラート(バイエル薬品)など登場により、1965年にピークをつけた脳血管疾患患者の死亡率は、現時点ではほぼ半減の状態となっています。特に、ヘルベッサーやアダラートの登場により、治療目標とする血圧まできちん下げることが可能となり、脳疾患患者の死亡率は劇的に減少しています。両薬剤は、メカニズム的には、カルシウム・ブロッカーと呼ばれる薬剤です。

 実際の治療は、カルシウム・ブロッカーを基本薬として、他のメカニズムの薬剤が併用されています。現在では、協和発酵工業のコニールや大日本住友製薬アムロジンなどの血圧を1日中安定して下げ続ける薬剤の登場や、腎臓などの臓器保護作用を持つ他のメカニズムの降圧薬の登場により、高血圧治療の選択の幅が広がっています。

 今後の降圧剤市場では、新しいタイプのARB (アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)の拡大が見込まれます。 ARBは、腎臓機能の保護作用や心不全にも効く薬剤として、急速に市場浸透を進めています。背景には、高血圧患者の約4割は、高血圧以外に、糖尿病や高コレステロール血症を併発していることがあります。血圧治療だけでなく、他の疾患の治療も視野に入れた治療が必要となってきています。

 しかし、今後の降圧薬市場全体の動向を考えた場合、死亡率の低下度合いにも表れているように、ほぽ治療効果の上限に近づいていると考えられます。薬剤開発の観点からしますと、開発費用をかけて新薬を出しても、あまり高いリターンが得られる市場ではないと考えられます。