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アルツハイマー型認知症治療薬の市場拡大:無敗のアリセプト

 


 アルツハイマー認知症治療薬の市場では、特徴的な市場構造が見られます。結論から言うと、次々と治療薬が登場することで、薬剤同士が競合するのではなく、逆に市場拡大が起こっているのです。

 アルツハイマー認知症を完治させる薬剤は、まだ販売されていません。現在用いられている薬剤は、認知症の悪化を遅くするだけの薬剤です。このようにまだ治療効果の高い薬剤がない市場では、次々と薬剤が発売されることで、市場が拡大します。また、各薬剤の併用を行うことで、効果をより高める方策がとられています。米国では、エーザイアリセプトの後に、ノバルティスのエクセロン、ジョンソン・エンド・ジョンソンのレミニール(後にラザダインに名称変更)、フォレスト・ラボラトリーズのナメンダなど競合薬が登場しても、アリセプトの売上は落ちませんでした。医療現場では、アリセプトを基本薬剤として、そのうえにナメンダなどのメカニズムの違う薬剤を併用し、市場拡大が続いています。

 過去には、米国の抗うつ薬市場でも同じことが起こっていました。次々と薬剤が発売されても、お互いが競合するというよりは、薬剤の販売競争で潜在患者の掘り起こしが進み、市場が急拡大しました。

 

 今後、このようなことが起こると考えられるのが、国内での抗リウマチ薬市場です。今までは満足のいく治療効果を示す薬剤がありませんでしたが、治療効果の高い田辺三菱製薬のレミケードや武田薬品工業のエンブレルの登場により、潜在患者の掘り起こしが進んでいます。エンブレルの後には、アボット/エーザイのヒューミラや中外製薬のアクテムラの登場が予想され、さらに市場拡大が続くと考えられます。販売競争により、病気治療の啓蒙活動が広がり、患者へ恩恵がもたらされると考えます。