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通訳者は英単語のシンボルを把握すべし

 

「心を読め」はRead his mind. となる。また「腹を読め」という場合にも使われる。しかし、「腹のある人」なら、a big-hearted man とheartが使われるか、heartを外して単にHe's big. だけでもすまされる。腹芸(the haragei)となると、a game of psychology (またはcourage)となる。 psyche (心理)が登場する。

 英語の使い手は、英単語の量ではなく、英単語の持つシンボルをしっかり把握しておくことだ。とくに通訳者の場合は、シンボルとシンボルの変換が職務なので、待ちの姿勢を保ちながら、先手を打つように訳さなければ、務まるまい。これを剣にたとえると訳者も新米のころは、「対々のからも打ちかかってくる場合の先手の取り方)の訓練を積むべきであろう。

 「行動せよ」は、Be active.

 「待ってから行動せよ」は、Be reactive.

 「先手を取れ」は、Be proactive.

 とくに英語の武芸者のみならず、将、兵、そして参謀(秘書を含め)の心構えは、すべてproactivityである。

 言葉は平面的にみれば直線的であるが、立体的にみれば色や形がある。シンボルと捉えれば、言葉そのものが放射状のエネルギーを内包しているのだ。英語は生きている。これは英語道の大鉄則である。

 私の同時通訳の師匠、西山千名人が、「同時通訳はシンボルの交換だ」と述べられる時、同時通訳が武道に結びついてしまうのだ。                      

 円  武の道においては点を起とし、円を終とす。線はこれに付随するものなり。

 心は円なのである。 しかし心をシンボルとして描くのは骨が折れる。武蔵の二刀流に影響を受けたのか、私はあらゆる事象(論理を含め)も二つに分ける。

 心を知と情に分ける。すると両者が交差する点がある。その中心点がsoulである。そのsoulが、立体化すると、spiritになる。 spiritは、前進(進化)するか、後退(退化という言葉は好きではない)の意思決定をする。spiritは天と地に分かれる。

 すると、六角になる。心のシンボルは六角なのである。情緒が安定している状況とは、六角のことである。武蔵の『五輪書』を超越しようと熟慮したのち、私か開眼したのが、この六角ロジックである。

 さて、この六角は円に至る道程になる。したがって、この六角を円で囲むと、人間になる。円はbodyである。その中心はheartである。それを中心軸とすれば、この六角は、独楽のようにグルグル回るはずである。六角は、叩ち円なのだ。この中心の軸は、気力が充実していればいるはど、静止状態に近くなる。

 この中心を中国の哲学者は“中庸”と呼び、日本人は“腹”(肚、胆)と呼んだ。私は、これを道と呼ぶ。

 心はこのように、固定してはならない。

『英語は格闘技』 松本道弘