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エーザイ

 

 

 1936年に、田辺元三郎商店に勤めていた内藤豊次が、東京都の神田淡路町エーザイの前身である合資会社桜ヶ岡研究所を設立したのが始まりです。日本の製薬企業
の中では歴史が新しいと言えます。 1941年に設立した日本衛材と後に合併し、1955年には社名を現在のエーザイに改称しました。

 1978年に発売した末梢性神経障害治療剤メチコバール錠は長寿製品となり、2005年度には321億円を売り上げました。1984年には抗潰瘍剤セルペックスを発売、大型化しピーク時の1995年度には482億円に達しました。これら発売年度の古い薬が現在も国内の主力製品の一一角を占めています。

 エーザイの事業のあり方を変えたのは海外、特に米国市場への進出です。アルッハイマー型認知症治療薬アリセプトと、抗潰瘍剤アシフェックスの2製品を米国で発売し、業績は急拡大しました。 2006年度の米国売上は、アリセプトが1,622億円、アシフェックスが1,269億円に達しました。

 2製品の海外展開が始まる前には目立った貢献がなかった海外売上は、2006年度には全社売上の60%を上回り、この水準は国内で上場する製薬企業で最高、全産業でも最高水準にあります。

 アリセプトは、1997年に世界に先駆けて米国で発売されました。アリセプトの研究開発は1983年に開始され、米国では1991年に臨床試験に入りました。 1994年にはファイザーと販売提携を結び、1996年にはFDAから販売承認を得ました。

 アリセプトは、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を抑えることにより、アルツハイマー認知症の進行を遅らせます。アリセプトの先行薬として、ワーナー・ランバート(現ファイザー)のコグネックスがありましたが、肝毒性等の副作用と1日4回の服用であまり受け入れられませんでした。アルツハイマー認知症に対しては、不安やうつなどの周辺症状を緩和する薬しかありませんでしたが、アリセプトの登場は、患者とその家族に福音となりました。

 パリエットは、1997年に日本、1999年には米国で発売されました(米国名:アシフェックス)。パリエットの開発計川が定まったのはセルベックスを発売した1984年でした。パリエットは、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤と言われる薬効で、すでにアストラゼネカなどが開発に先行していました。 1997年にジョンソン・エンド・ジョンソンと販売提携を結び、米国では1999年にプロトンポンプ阻害剤として3番手の発売を果たしました。

 中期的な見通しにおいて重要なのは、米国でアリセプトの特許が2010年、アシフェックスの特許が2013年にそれぞれ切れることです。特にアルツハイマー認知症市場の標準薬として圧倒的な市場シェアを占めているアリセプトは、利益貢献も大きいと考えられ、特許切れの影響は甚大です。この影響をカバーできる保証は今のところありません。今後の研究開発や事業買収などによって、いかに特許切れの穴埋めをするかが最大の焦点です。

 対応策として次世代のアルツハイマー認知症治療薬を開発するか、ライセンス導入するなどで、アリセプトの後継品を市場に投入することが考えられます。もう1つは、治療ニーズの高いがん領域のビジネスの立ち上げです。がん領域はエーザイにとって初めて取り組む分野ですが、1980年代からの研究開発がようやく成果を結びそうな段階です。さらに2006年以降、がん領域に強い米国のバイオベンチャーであるライガンドからの製品買収や、モルフォテック社の買収など、矢継ぎ早に布石を打ちました。今後のがん領域のビジネスの広がりが期待されます。