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中外製薬

 1925年(大正14年)に創業者の上野十蔵が、中外新薬商会の名称で医薬品の輸入販売を開始したのが始まりです。 1927年には、医薬品製造に着手し、ブドウ糖輸液や鎮痛薬などを手掛ける製薬メーカーになりました。戦後になり1951年には、解毒や肝機能改善を促すグルクロン酸の工業生産に成功し、グロンサンとして発売しました。グロンサン中外製薬の代名詞となり、最盛期にはドリンク剤の他各種製剤を展開し、売上高は全社の6割を超えました。 2004年にグロンサンやくん煙剤バルサンを含む一般用医薬品は事業譲渡され、現在はライオンの製品になっています。

 医療用医薬品の拡大を牽引したのが、1968年発売の抗潰瘍剤アルサルミン、1975年の抗がん剤ピシバニール、1984年の狭心症治療薬シグマートなどの新薬でした。アルサルミンは海外でも発売され、ピシバニールは大型化しました。その後、業績の柱となるバイオ医薬品の2製品、腎性貧血治療薬エポジンと好中球減少症治療薬ノイトロジンが登場します。

 エポジン赤血球を増やす囚子、ノイトロジンは白血球の一種を増やす因子で、もともと人体に存在している物質です。当時実用化して間もなかった遺伝子組み換え技術を用いて製造されています。エポジンについては、1984年に米国のバイオ企業ジェネティクス・インスティテュートと契約し、製造販売権を得ました。

 特許訴訟により米国市場での事業展開は断念せざるを得ませんでしたが、国内では1990年に発売しました。人工透析患者の貧血改善に欠かせない役割を果たし、2005年には718億円にまで拡大しました。ノイトロジンは、東京大学などとの共同研究の成果で17年に上る開発期間を経て1991年に発売されました。抗がん剤治療の副作用によって減少した白血球を増やす薬として、欧州でも発売し2006年には国内外で361億円の売上をあげました。

 大きな転機となったのが、2001年に発表したスイスの医薬品大手ロシュとの資本提携です。日本で1932年に設立された日本ロシュと合併し、ロシュの連結子会社となりました。ロシュの傘下には、米国を代表するバイオ企業ジェネンテックがあり、画期的なバイオ医薬品を次々と世に送り出していました。ロシュとの資本提携は、ジェネンテックを含めたロシュグループで開発された、あるいは今後開発される製品の白本での販売権を手にすることを意味します。日本ロシュとの合併により、抗がん剤ハーセプチンとリツキサン、インフルエンザ治療薬タミフルなどが製品ラインナップに加わりました。

 2003年には、ジェネンテックの画期的な抗がん剤アバスチンが、大腸がん患者に対する臨床試験で顕著な延命効果を示しました。同年、中外製薬はアバスチンの日本での開発販売権を獲得し、2007年に発売に至りました。他方、中外製薬自身も、独自開発した抗体医薬アクテムラを2006年に難病といわれるキャッスルマン病治療薬として発売しました。アクテムラは臨床試験でリウマチの治療薬としても効果を示しています。 2003年には、アクテムラの欧米での共同開発および共同販売権をロシュに供与しました。

 今後の中外製薬の飛躍は、日本でアバスチンがどこまで受け入れられるか、そして、世界市場でロシュグループがアクテムラをどこまで浸透させられるかにかかっていると思われます。