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小野薬品工業

 290年前の江戸時代、1717年(享保2年)に初代伏見屋市兵衛が、大阪に薬問屋を創業したのがルーツです。現在の株式会社としての小野薬品工業は1947年に設立されました。医療用医薬品に特化し、その研究開発のアプローチがユニークなことで知られます。国内外の多くの製薬会社は、特定の疾患領域を定めて研究を進めています。

 これに対して小野薬品工業は、研究者の探求心や好奇心から生まれた化合物を製品化するという考え方、すなわち「化合物オリエント」という独特なアプローチをとっています。その結果として、これまで治療薬のなかった病気の薬が開発・上市されることになり、また、まったく新しい作用機序による独創的かつ画期的な新薬の開発にもつながっています。

 1968年には、生理活性物質プロスタグランジン(PG)を世界で初めて全化学合成し、1973年にはPG製剤プロスタルモンFを陣痛促進剤として発売しました。 1977年発売のエフオーワイは急性膵炎や汎発既血管内血液凝固症に、1985年発売のフオイパンは慢性膵炎や術後逆流性食道炎に、1988年発売のカタクロットは脳血栓症急性期に、1992年発売のキネダックは糖尿病性神経障害に、1995年発売のオノンカプセルは喘息やアレルギー性鼻炎に、2002年発売のエラスポールは全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害に、同年発売のオノアクトは手術時および術後の頻脈性不整脈にと、化合物オリエントによるアプローチから独創性の高い新薬が生まれました。

 自社品の開発の成功が続いたことや、他社品との競合が少なかったことなどから、医薬品業界でも高い利益率を誇り、2006年の売上高経常利益率は約40%と高水準です。しかし、すでに物質特許が切れた製品も多く、ジェネリック薬との競争が激化しています。特に、売上の一角を占める注射剤に対するジェネリックの影響が、医療費の定額払い制度の広がりとともに徐々に拡大しつつあります。

 販売中の製品では競争激化と薬価の引き下げが見通されるため、将来の業績は開発中の新薬にかかっています。研究開発においては、2004年には開発中の脳梗塞治療薬アロサイトを、米メルクにライセンスアウトし、また同時にメルクの糖尿病治療薬グラクテイブ(米国での製品名:ジャヌビア)とがん化学療法に伴う悪心・嘔吐の治療薬イメンドを日本で開発・販売する権利を得ました。

 脳梗塞では、後遺症なく社会復帰できるためには、現在発症後3時間に治療を受けることが重要とされながら、実際には2割程度の患者しか3時間以内の治療は施されていないのが現状です。アロサイトはこの時間を6時間に延ばす可能性があり、現在臨床試験でそれを確かめようとしています。臨床試験に成功すれば、脳梗塞の治療法を変える画期的な薬になるでしょう。

 他方、メルクのジャヌビアは米国で2006年に発売され、安全性の高い2型糖尿病治療薬として急速に売上が拡大した製品で、国内でも承認が待たれています。クロスライセンスによってうまく新薬パイプラインを充実した良い例と言えるでしょう。

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