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【気管支拡張剤】 交感神経刺激剤

 

 気管支拡張剤には大きく分けて、交感神経刺激剤と、テオフィリン製剤の二種類があり、両方とも一般の小児科の現場でよく使われています。

 


 一番おなじみのくすり

 気管支の構造を思い出してみてください。気管支を気管支平滑筋がとりまいていますね。その気管支平滑筋の状態をコントロールしているのは自律神経。その自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経を刺激すれば気管支平滑筋は緊張がゆるみ、副交感神経を刺激すれば収縮します。。

 交感神経刺激剤というのは読んで字のごとく、交感神経を刺激するのですから収縮してしまった気管支平滑筋の緊張をゆるめることができるくすりです。

 交感神経刺激剤には、シロップ、粉、錠剤のほか、吸入剤までいろいろな剤型がそろっています。子どもがちょっとゼーゼーしたときにもらうシロップ、病院でしてもらう吸入もほとんどがこの仲間のくすりです。

 ぜんそくの人だったらだれでもお世話になったことがあるポピュラーなくすりです。

 気管支にいっている交感神経だけでなく、たとえば心臓にいっている交感神経などにも多少は影響しますので、ちょっとドキドキしたり、手が震えたりというような副作用もよくみられます。

 これは中止すればおさまりますし、この仲間のくすりでもほかのものに変えたりすれば意外にだいじょうぶなことも多いのです。また、後遺症が残るようなことはまずないので、通常の使用量だったら安全なくすりだということができます。

 

 経口交感神経刺激剤

 小児ぜんそくの治療によく使われている薬剤の効果はどのくすりも似たりよったりで、どのくすりがよいということもありません。病院によってそろえてあるくすりが違いますが、まずどれを選んでもらっても心配はありません。

 また、気管支拡張剤ですよといわれて、もらったシロップが色は別にして透明感のあるものであれば、それは交感神経刺激剤だと思ってまず間違いありません。味もよいので小児科ではよく使われます。

 のむ回数は一日二回か三回。のませて一時間ぐらいすれば効いてきます。

 


 エアロゾルを吸入する交感神経刺激剤

 ボンベに入った吸入性の交感神経刺激剤で、ボンベを押すと一定量の薬剤が噴射されるものです。表に示したように、メプチン、サルタノール、などがよく使われています。

 のみぐすりと違ってダイレクトに気管支に作用しますので、軽い発作のときに吸入すると五分くらいで楽になります。また、薬剤の量としてはのみぐすりよりはるかに少ないので、上手に使えば安全だし頼りにもなるくすりです。

 ただ、すぐに効くだけに発作止めというイメージが先行し、これを処方することで患者さんが乱用するのではないかというような考えから、以前は小児科医の多くがこのくすりにたいしてかなり否定的な印象をもっていたようです。

 恐い薬だという宣伝が効きすぎて、患者さんのほうではよほど苦しくないと使わないようにしたため、使ったときには心臓や肺の機能に余裕がまったくなくなっていて、かえって副作用が強くでてしまったということもあるようです。

 しかし、最近は安全性も認識されてきたため、上手な使い方を指示する医師もふえています。たとえば発作止めとして使うよりも、元気だけれど少し調子がわるいといったときに、ほかの治療も併用しながらこのような吸入性の交感神経刺激剤も連用していく方法があります。こういう使い方ならば、心臓や肺のほうにも余裕がありますので、問題はおきにくいのです。

 もちろん乱用はいけません。まだ判断のできない子どもが勝手に使いすぎて死亡した例もあります。でも、のみぐすりだって十倍、百倍と使って大丈夫なはずはありません。このことだけで、のみぐすりより危険だと結論づけることは誤りです。 一日の使用回数や間隔などを守っていただいて、医師とよく相談しながら、このタイプのくすりのメリットを最大限に生かしてもらいたいものです。

 なお、このエアロゾルタイプのくすりを小児が使うときには吸入補助器具が必要です。

 


 吸入液を霧にして吸う交感神経刺激剤

 発作をおこして病院にいくとたいてい吸入をしてくれますが、そのときに使うくすりは吸入液をネブライザーという機械を使って霧のようにして吸入する交感神経刺激剤です。メプチン、ベネトリンといったくすりがよく使われます。

 エアロゾルとして使われているものと薬剤自体はほとんど同じものですが、ゆっくりと時間をかけて気管支のほうに入っていきますし、子どもが意識して吸わなくてもマスクをあてておいてあげたりすれば、十分効果もあります。ちょっと工夫をすれば赤ちゃんでもできます。

 また、エアロゾルを吸うことができる子でも、その効果を比較すれば、エアロゾルよりもネブライザーを使った吸入のほうが効果が優れています。とくに調子がわるいときは、その差はかなりはっきりしています。

 このように優れた方法でありながら、最近までは、ネブライザー吸入は発作のときに、しかも病院でするものだという思い込みがあったために、ネブライザーを患者が購入して自宅で交感神経刺激剤の吸入をするという方法は、多くの小児科医から批判的にみられていた傾向がありました。

 たしかに、ぜんそく基本的な治療がないがしろになっていて、ただ苦しいときだけ吸入器を使い、必要なときに医療も受けない人がいて困ることがあります。でも、上手に使えば、のみぐすりにくらべて少量の薬剤で効果を得られる点や、短時間で効果がわかるという点など長所も多いのです。

 吸入器を購入して上手に使う方法については、今後もくわしく説明しますので、単に吸入器は危険だとか、吸入器は機械を使うのだから大げさだとかいった目で判断しないようにしてほしいと思います。