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テオフィリン製剤について:テオドールやテオロングなどの徐放剤を用いたRTC療法

 

 

 


 作用時間によって非徐放剤と徐放剤にわけられる

 テオフィリン製剤は、交感神経刺激剤と並ぶもうひとつの気管支拡張剤です。作用の仕方は多少違うのですが、結果的に気管支平滑筋の緊張をゆるめるというところは同じです。

 テオフィリン製剤は吸入剤はまったくなく、のみぐすり、坐薬、注射薬がありますが、そういう分類とは別に、作用時間によってつぎのように分類されています。

 

●作用時間の短いもの(非徐放剤)

 くすりがすぐに溶けて吸収されるので、交感神経刺激剤の吸入ほどではありませんが、速効性があります。ただ効きめが切れるのもはやいため、発作止めとして使われることが多いのです。

 

●作用時間の長いもの(徐放剤)

 くすりがゆっくり溶けるので、吸収されて効くまでに二時間ぐらいはかかり、血中濃度がピークに達するのに数時間はかかります。ですから、継続してのむことによって一日中効かせるというのみ方もできます。ぜんそくの治療自体が、発作ごとにあわてる治療ではなく、発作をいかに予防するかという治療に変わってきている今、テオフィリン製剤の主役もどちらかというと徐放剤だといえます。

 

 のみやすくなったテオフィリン製剤

 今、小児科でもっとも使われているのは、テオドールやテオロングという名前の徐放剤です。以前は錠剤のほかはザラザラして水に溶けない粒の粗い顆粒しかなく、くすりぎらいの子どもをもつお母さんを悩ませていました。

 でも最近は、同じテオドールの仲間にシロップやドライシロップが加わりました。シロップはトロトロしていてあまりおいしいとはいえませんが、ドライシロップは子どもたちに好まれています。これでお母さんの悩みもかなり解消されたようです。

 そのほかにアルビナという坐薬もよく使われます。これもテオフィリン製剤の仲間ですが、これは非徐放剤なので、効き方は徐放剤とは違います。でも、くすりがのめないような状態でも坐薬ならとお考えの方は試してみてもよいでしょう。

 

 徐放剤を使ったRTC療法

 気管支拡張剤が一日中効いている状態にすれば、とりあえず発作をかなり抑えることができます。しかし、そのために一日何回もくすりをのまなくてはならないというのも不便です。これを解決するために、長時間効くテオフィリン徐放剤が開発されたのです。

 テオフィリン徐放剤は一日二回の服用で、有効な血中濃度を二四時間保てるようになっているので、ちょうど時計の針がI回回ったらのむというような意味で、テオフィリン徐放剤を一日二回服用するこの治療法をRTC療法と呼ぶようになりました。おもしろいネーミングですね。

 

 血中濃度に注意が必要

 実はテオフィリン製剤にはどうしても注意しなくてはならないことがあります。それは血中濃度のことです。

 くすりとして有効な血中濃度はどうしても必要なのですが、それをちょっと超しただけで危険な血中濃度になるのがこのくすりのもっとも恐いところでしょう。そのため、血中濃度を測定する必要があることもときどきあります。

 また、ある種の抗生物質と併用するときに血中濃度が上がるということもあり、医師や薬剤師もかなり注意をはらって使っているくすりだということも知っておいてください。

 それから通常の濃度であっても、どうしても副作用がでてしまうという人もいます。これは体質といってもよいでしょう。いたずらに恐がることはありませんが、注意が必要です。 ただ、くすり自体があまりおいしいとはいえないので、そのくすりを吐き出してしまうことと、副作用の吐き気は違います。ネオフィリンという注射薬も実はテオフィリンの仲間にはかならないことがわかります。発作がひどく病院で点滴を受けることがありますが、そこにかならず使われているくすりがこのネオフィリンです。ですから、この仲間のくすりを 直前に使っていたりすれば、点滴に使うくすりの量を当然減らさなければなりません。

 反対に、点滴までは必要ないけれど、くすりを足しておきたいときは、たとえば交感神経刺激剤だけしか使っていない患者さんには、発作を抑えるためにテオフィリン製剤も加えておく、というようなことができます。もし使っていたとしても、処方されているテオフィリン製剤の量がきちんとわかっていれば少量でも追加することが可能です。

 このようなわけで、とくにこの仲間のくすりは家庭で何を、いつ、どれだけ使っていたかが説明できるようにしてほしいのです。

 そんなことはどのくすりでも同じではないかと思われるかもしれません。なぜ、テオフィリン製剤についてことさら強調するかというと、すでに説明したように、このくすりは使って有効な量と危険な量がきわめて接近しているからなのです。そのため、医師は血中濃度にいつも気を配っており、この仲間のくすりをどのていど使っているかがわからない患者さんには使うことができないのです。

 とくに、夜間、休日の救急外来当番などで、初対面の患者さんとお会いしたときには、いつものんでいるくすりの名前と種類がはっきりしていないと、とても困るものです。