医薬翻訳サービス

薬理学、生化学、統計学に精通した翻訳士が対応いたします

ぜんそく発作の予防薬とは

 

 予防薬は、気管支拡張剤のようにすぐには効かないけれど、使いつづけることによって、ぜんそくの発作を予防する働きがあるくすりのことをさします。発作のときに使っても効きません。

 ぜんそくの治療においてもっとも重要なことは、発作のない期間をいかに長くとるかということです。だとすれば、発作のていどや頻度が増してきたら、とりあえず薬物治療のベースに予防薬をおくことは、気管支拡張剤を効率的に使うという意味からもうまい方法です。

 そのため、使う期間も数力月から数年と長くなるのがふつうです。幸い予防薬といわれるくすりには副作用があまりないことが多いので安心して使ってもらえますが、長いあいだくすりを使うとなると、どうしても不安がつきまとうものです。でも勝手にやめてよいというものでもありません。心配なときは遠慮なく主治医にもう一度聞きなおして、予防薬を使う目的や見通しを説明してもらい、とにかく納得してつづけてもらいたいくすりです。

 では、予防薬を急にやめたらどうなるでしょうか。決して一日や二日で発作がおこるというようなことはありません。予防薬はすぐには効かないけれど、忘れたからといって急にわるくもならないくすりです。

 お子さんからすれば、忘れても発作がおこらないのだからたいして重要なくすりではないと思い込んでしまうのも無理からぬことでしょう。でも気管支拡張剤などと比較して、くすりの効き方がまったく違うのだということが十分理解できれば、少なくともお母さんやお父さんにはそういう誤解はおきないと思います。 

 

「からだにやさしい」治療薬

 また、多くの予防薬には、気管支の過敏性に強くかかわっている炎症を抑える働きがあるので、ぜんそくにとってより本質的な治療だということもできます。そのことについてはそれぞれのくすりのところで述べますが、わかりやすいたとえ話をひとつ紹介しましょう。

 台風などで川の水かさが増して、洪水がおこることがありますね。その対策として、下流のほうで堤防の高さをあげることはひとつの方法です。ただ意外に知られていませんが、それ以上に大切な方法として、上流の水源地帯で植林をゴツゴツつづける仕事があります。そのように自然を上手に利用することで、雨水がそのまま下流に流れることを防ぎ、氾濫しにくい川を作ることができるのです。

 ぜんそく治療薬でいえば、気管支拡張剤は堤防に、予防薬は植林にあたります。

 「環境にやさしい」というコピーがありますが、予防薬による治療のイメージもまさにこれです。「からだにやさしい」という感じです。

 


 医師との連携もさらに大切

 また、予防薬を使うとなったら、医師はかなり先のことまで考えて治療を計画しています。その場しのぎの治療だけで中断してしまっては、せっかくのくすりも効果的には使えません。長期的なおつきあいだなと思うと、医師も患者さんとさらによい関係をもとうと努力はするのですが、その気持ちがなかなか患者さんに伝わらずに困ることがあります。患者さんも医師とよく連携をとれるように、今まで以上に気を配ってもらえればありがたいですね。

 それから、こういったくすりをいつやめていくかというのは、指標になるものも少なく大変難しい問題です。中止してもほとんど発作はおこらないだろうという時期がきたらやめていくわけですが、そういう時期にはその後の治療も含めて主治医と話しあうことが必要です。

 それでは予防薬といわれるくすりを具体的に解説してゆきましょう。