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インタール

 


副作用が少なく効果が抜群

 インタールという吸入薬は、本当にすばらしいくすりだと思います。理由は簡単。副作用が少なく効果が抜群だからです。

 吸入薬であるだけに、気管支粘膜の部分に直接とどくので、のみぐすりにくらべてより少ない量で効果もあがるのです。このくすりの特徴を知って上手に使いたいものです。

 発作の頻度が高がったり、気管支拡張剤を減量、あるいは中止するとゼーゼーしてきてしまうという子に予防的に使うのならば、副作用の報告もほとんどないので、迷うことなくすすめることができます。

 インタールは使いはじめてから一~二週間で、発作の予防効果がではじめてきます。また、中止しても二~三日で悪化するということはないので、じんわりと効いているという感じでしょうか。

 

 いろいろな形がある

 インタールは吸入剤ですが、エアロゾル剤、カプセル剤、アンプル剤と、三種類のくすりがあります。

 このなかで、いちばんおなじみなのはエアロゾル剤です。ボンベに入っていてシュツと吹き出すくすりを吸い込むもので、子どもが使うには吸入補助器具があったほうが効果的です。吸入補助器具を使えば、三歳ぐらいの子どもでも結構上手に吸い込むことができます。

 また最近は、エアロゾル剤が開発されたために使われる頻度が減ってはきましたが、もっとも古くから使われているのがカプセル剤です。力プセルといってものむくすりではありません。

 スピンヘラーという器具にインタールカプセルをセットすると、カプセルの横に穴があき、息を勢いよく吸い込むと同時にカプセルが回転してその穴から遠心力でインタールの粉末が飛び出し、気管支に吸い込まれるようになっているのです。口のなかに多少残る感じはします が、それでも効果は十分。くすりは吸い込まれています。ただ、勢いよく吸い込む力が必要なので、小学生以上でないとちょっと無理だと思います。

 それともうひとつはアンプル剤。液体になった吸入剤です。インタールのなかでもっとも効果があるのは、このアンプル剤であることは間違いありません。吸入器を使ってインクール液を霧状にし、吸入をします。発作のときの吸入と同じ方法です。これなら、どんなに小さな子でも使うことができます。

 もちろん発作をとめるために吸入するのではなく、予防のためのくすりを吸入するということなので、病院でする吸入とは本質的に違います。同じといってもくすりの投与方法がたまたま同じというだけです。

 ところで、家庭で吸入するとなれば吸入器を購入しなくてはなりません。吸入器の価格は二~四万円というところですが、インクールアンプルの効果を考えれば決して損な買物ではありません。吸入器は単にインクールだけのためでなく、上手な使い方もできますので、医師からすすめられたらぜひ考えてみてください。

 

炎症を抑える効果が強い

 さて、これからインタールの作用の仕方に話をすすめていきましょう。どうしてインタールはこんなに効くのでしょうか。

 それはアレルギーによって引きおこされる炎症を抑える効果がとても強いということと密接に関係がありそうです。

 少し難しい話になりますが、患者さんの肺や気管支に洗浄液を流し込み、それをもう一度回収して調べる検査(気管支肺洗浄検査)があります。その方法で調べてみると、インタールを使った患者さんの場合、炎症に関係のある細胞が明らかに減っているのです。

 気管支ぜんそくの患者さんには、かならず気管支の過敏性が存在しています。さらに、気管支の慢性的な炎症が過敏性に深くかかわっています。だとすれば、このインタールのように炎症を抑える効果が強いくすりは、いい方を変えれば、気管支ぜんそくの本質にせまるくすりだということもできることがおわかりでしょう。

 炎症があるから過敏性があり、だからいろいろな刺激に反応してしまい、その結果、気管支平滑筋が収縮したり粘膜がむくんだりして発作がおこるわけですが、その平滑筋の収縮を和らげる気管支拡張剤とくらべて、少なくとも役割のうえでかなりの違いがあることも理解できます。

 単に、発作が多いからという理由で使いはじめた方がほとんどだとは思いますが、このように作用の違いがあるだけに、目的も違います。いい過ぎを承知でいえば、気管支拡張剤はぜんそく 発作を抑えるくすりであり、インタールのように炎症を抑える効果の強いくすりは、ぜんそくをなおすくすりだというとわかりやすいでしょう。

 


 マスト細胞での働きも強い

 もうひとつ、インタールにははっきりしている作用があります。気管支の粘膜に存在するマスト細胞から化学伝達物質が放出されるのを抑える働きです。

 とくにアレルギー反応が関係した急性のぜんそく発作には、この化学伝達物質の放出がかならずかかわっていますから、これを抑えることはとても有効な手段です。小児ぜんそくは成人よりもアレルギーの関与が強いし、発作も比較的急におこるタイプが多いので、インタールの効果もその分だけ成人の場合よりも高く、とくに小児科ではよく使われるくすりです。

 


 運動誘発ぜんそく対策にも有効

 インタールの特徴はまだあります。ぜひ知っておいてもらいたいのは、運動誘発ぜんそくを防ぐ効果です。

 予防薬はすぐには効かず、使いつづけることによって効果がでてくるのだと説明したばかりですが、こと運動誘発ぜんそくにたいするインタールの効き方については例外といわざるをえません。

 運動の五分前にインタールを吸って運動するだけで、かなりの効果があるのです。体育の時間やクラブ活動の前に臨時にインタールを使うだけで楽しく運動ができるといって喜んでくれる子もいます。ぜひ試してみてください。最初に説明したように、副作用がほとんどありませんから、臨時に吸入してもまったく心配する必要がないというのもうれしいですね。