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肉に含まれる発ガン物質を乳酸菌が抑え込む

 

 生活環境中にひそむイニシエーターを比較的容易な操作で検出できるエームス試験という方法があります。1973年に米国のエームス博士が考案したもので、サルモネラ菌の一種に訓べたい物質を作川させ、寒天を入れたプレートにまき、定温で2晩放置します。この試験に使用されるサルモネラ菌は、通常の状態では寒天の上で増殖できませんが。遺伝子に突然変異が起こると必要なアミノ酸を自分で合成して増殖し始め、コロニーを形成します。そのコロニー数から、作用させた物質の変異原性の有無だけでなく活性の強さも知ることができます。

 肉や魚の焦げた部分を食べますと、焼け焦げに含まれるヘテロサイクリックアミンの一部は便にまざって排泄され、残りは吸収されて肝臓で解毒を受け、胆汁中か尿中に排泄されます。尿中に出てくるのはとり入れた量の3~10%といわれますが、それでもふだんは変異原性を示さない尿が、焼き肉などを食べた後に調べると3~6時間後をピークに変異原性が上昇することが知られています。

 そこで、岡山大学薬学部の早津彦哉教授らは焼き肉を食べた後の尿をエームス試験にかけ、乳酸菌製剤を服用した場合に尿中の変異原性にどのような影響があらわれるかを調べました。

 使用されたのはヨーグルトやチーズなどに含まれる乳酸菌の一種、カゼイ菌の生菌をlgあたり約100億個含む「BLP」と呼ばれる整腸薬です。

 健康な人6名に牛焼き肉10gを食べてもらい、食前の12時間、食後0~12時間、12~24時間の尿をすべて採取しておきます。次いで3名にはBLPを1回lg、残りの3名にはI回5gを、それぞれ1日3回、3迦間服用してもらった後、前と同様に焼き肉を食べてもらい、尿を採取して、変異原性を比較しました。

 結果は、乳酸菌製剤を飲んだ後では6名とも食後0~19一時間の尿中の変異原性が6~67%、平均で45・5%に低下したのです。

 変異原性が低減したということはこの場合、とりもなおさず尿中に排泄されるヘテロサイクリックアミンの量が減ったことを意味すると考えられますが、それでは減ったヘテロサイクリックアミンはどこへ消えたのでしょうか?・

 焼き肉摂取後12~24時間の尿を調べても変異原性が低下していたことから、ヘテロサイクリックアミンが体内に長くとどまり、尿中に出てくるピークが遅れたものとは考えられません。