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大腸がんの発生率と乳酸菌の量は反比例する

 

 乳酸菌が大腸ガンの予防になにがしかの役割を果たしていることを支持すると思われる疫学的調査を紹介しましょう。

北欧のフィンランドデンマークは同じスカンジナビア圏にありながら、結腸ガンによる死亡率にきわだった差がみられます。そこで、フィンランドの片田舎のクオピオ地方と、大腸ガン(結腸ガン+直腸ガン)の発生率がクオピオの3~4倍も高いデンマークの首都コペンハーゲンで、食生活や腸内菌叢の構成などを比較する調査が行われました。

 コペンハーゲンでは平均よりやや収入の多い中流クラスの人々、クオピオでは食べ物の自給率の高い農民が対象となりました。彼らの腸内菌叢(便中の細菌構成)を調べた結果、最も顕著な差がみられたのが乳酸菌の数で、クオピオではコペンハーゲンの20~30倍にあたる、便1gにつき平均1億個もの乳酸菌が検出されたのです。

 食生活を比較してみると、コペンハーゲンの人々は精白粉を使用した白パンや肉類(主に豚肉)、ビールなどのアルコール類をクオピオよりも多くとっていました。

 クオピオの人々は農作業に従事するため、コペンハーゲンよりはるかに高タンパク・高脂肪・高カロリーの食事をとっていましたが、肉の占める比重はむしろコペンハーゲンよりも低く、かわりに牛乳を約4倍も多く飲んでいました。また、タンパク質や脂肪を多くとる一方で、全粒粉を使用したライ麦パンなどを食べ、食物繊維を2倍近くも多くとっているのが特徴でした。

 牛乳の消費量が多いことから、おそらく乳酸菌を含んだヨーグルト、チーズなどの乳製品の摂取量も多く、このことが腸内菌叢の乳酸菌をぶやしているものと想像されますが、残念ながら調査はこの点を明らかにしていません。

 また、食物繊維を適度に摂取することも腸内の乳酸菌をふやすことにつながると考えられます。