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肥満女性は乳ガンになりやすい

 

 戦後、わが国の女性は太りました。1960~1991年だけをみても、40代女性の平均体重は4㎏ふえて約54㎏に、60代女性では64ふえて約52㎏となっています。

 皮下脂肪の厚さ(上腕背部土肩甲骨下部)が男性40mm以上、女性50mm以上の人を肥満者といっていますが、その肥満者の割合は、男性で8人に1人(13・4%)、女性では6人に1人(17・1%)にも上っています。

 肥満は、乳ガンのリスク・ファクター(危険因子)の一つです。国立がんセンター病院と癌研究会病院に入院した乳ガンの患者さん400例と乳ガンでない人581例を比較対照して、肥満度別にリスクを割り出した研究によると、「やせている人」が乳ガンになるリスクをIとすると、「太っている人」のリスクは閉経前で約3倍、閉経後には12倍以上に高まることがわかりました。

 エストロゲンが乳ガンを促進するのですから、その分泌がなくなる閉経後には乳がンのリスクは低下するはずですが、肥満の女性では閉経後にむしろリスクが高くなっています。

 これは一つには、脂肪に含まれるアロマターゼという酵素に、男性ホルモンをエストロゲンに変換する作用があることから説明されています。閉経とともに卵巣からのエストロゲンの分泌はなくなりますが、副腎からはアンドロゲンという男性ホルモンの分泌が続いています。肥満の女性はいわばアンドロゲンをエストロゲンに加工する工場ともいえる皮下脂肪をたくさん蓄積しているために、閉経後もエストロゲン血中濃度が高い状態が続くと考えられるのです。