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ヨーグルトを毎日食べたら、体の免疫力が高まった

 

 ヨーグルトを長期間食べ続けると、体の免疫力にどのような効果があらわれるかを調べた臨床試験があります。健康な人24名に4ヵ月間、毎日450gのヨーグルトを食べてもらったのですが、結果は体内でインターフェロン-y(カンマ)をつくる働きが、食べる前にくらべ平均約4倍も上昇していたということです。

 インターフェロン-yはリンパ球の一種のT細胞がつくる物質で、ガン細胞に直接作用してその増殖を抑えたり、正常細胞に引き戻したりするほか、NK(ナチュラルキラー)細胞と呼ばれる別のリンパ球を活性化することも知られています。

 ヨーグルトを毎日食べる習慣がインターフェロン-yをつくるT細胞の働きを高めたことになりますが、興味深いことに、殺菌したヨーグルトで同様の臨床試験を行うと、このような効果は得られませんでした。

 このことから、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が生きたまま腸に届くことが免疫系にいい影響を及ぼすものと考えられるわけです。

 京都府立医科大学の喜多正和講師らのグループは長寿地域として知られる旧ソ連コーカサス地方で親しまれているヨーグルトに注目し、そこに含まれているのと同じ種類の乳酸菌で錠剤をつくり、健康な人19人に毎食後、4週間飲んでもらう臨床試験を行っています。結果はやはりインターフェロン-yをつくる働きが高まり、NK細胞の活性化がみられました。

 腸内に達した乳酸菌がどのようにして免疫細胞を活性化するのでしょうか?

 一つの鍵を握るのが、マクロファージ(大食細胞)と呼ばれる不定形の大きな免疫細胞です。

 マクロファージは血液中を泳ぎまわったり、血管の外に出て組織をパトロールしたり、リンパ節や脾臓、肝臓、肺などで待機していて、体に侵入した細菌やウイルス、古くなった赤血球、またガン細胞でさえも、自分以外の異物は何でも包み込んで分解してしまいます。

 マウスの静脈内に異物として墨汁(炭素の粒子)を注射すると、このマクロファージの食欲(異物分解能力)によって約13分で血液中の墨汁の量が半減します。そこで次に乳酸桿菌(カゼイ菌)を毎日投与しながら同じ実験を続けると、墨汁の半減時間がしだいに短くなり、7日目には約3分にまで短縮されることが確かめられています。また、マウスのおなかからマクロファージをとり出して、羊の赤血球を食べさせる実験を行うと、通常は100個のマクロファージで7個の赤血球を食べるのがやっとですが、乳酸桿菌であらかじめ刺激しておいたマクロファージは食欲旺盛で、100個のマクロファージで100個の赤血球を食べるようになります。

 乳酸菌がマクロファージの食欲を増進しているのです。

 ここまでの話で、T細胞、NK細胞、そしてマクロファージと、あまり耳慣れない免疫細胞の名前が出てきました。乳酸菌がマクロファージを刺激するメカニズムをお話しする前に、これらの免疫細胞の関係を整理しておきましょう。