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小児の再生不良性貧血を徹底解説

 

 骨髄低形成をともなう造血低下による貧血であり、多くの場合、顆粒球減少と血小板減少をともなう。発生率は、約1/小児15万人。約80%は原因不明の特発性である。残り20%には、

肝炎ウイルス感染症後、特定の薬剤(サルファ剤など)などによる続発性と、ファンコニー貧血などの先天性造血障害症候群が含まれる。

1……診断

症状

 貧血の症状に加え、易感染性・出血傾向を合併する。重症度は、軽症、中等症、重症の3群に分類される。

2)検査所見

 末梢血で正球性正色素性貧血、網状赤血球減少、顆粒球減少、血小板減少を、骨髄生検で骨髄低形成を認める。

2……治療

 軽症、中等症、重症により方針が異なる。長期予後および骨髄移植を考慮すると、赤血球輸血や血小板輸血は最小限にとどめ、可能な限りHLA一致の単一ドナーから輸注することが望

ましい。以下、各治療方法を示す。

蛋白同化ホルモン

 軽症・中等症に試みる療法である。単独では有効率が低い。長期投与の際は肝障害、男性化、高血圧に注意する。

2)免疫療法

 中等症や骨髄移植ドナーのみつからない重症例に試みる。抗胸腺細胞グロブリン(ATG)・抗リンパ球グロブリン(ALG)療法、メチルプレドニソロッ大量療法、シクロスポリンAなど

を組み合わせる。発病早期の症例の方が効果が高い。

a)ATG・ALG療法

 約3~6ヶ月で効果が現れる。重症例では約60%に有効であるが、骨髄移植の成績が上回る。悪寒戦慄、発熱、アナフィラキシーショック、血清病に注意する。

b)メチルプレドニゾロン大量療法

 中等症を中心に30~50%の有効率がある。効果発現の時期は、2~4週間で反応がみられることが多い。クッシング症候群、高血圧、高血糖、消化性潰瘍などの副作用が多い。

c)シクロスポリン療法

 効果が比較的早く、 a)、 b)法に無効な患者にもこれを併用することにより治療成績が向上することが多い。腎障害、多毛、高血圧、免疫不全などに注意する。血中濃度のモニタ一が必

要である。

3)サイトカイン療法

 中等症・重症例に試みる。顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)とエリスロポエチンが使用されている。一般には免疫療法と併用する。大量G-CSF投与により、重症患児の一部は好中

球数が増加し、重症感染症の危険が減少する。G-CSFによる副作用は少ないが、アレルギー症状、間質性肺炎に注意する。

 近年、 G-CSFを含めた多剤免疫抑制療法を受けた患者のなかに、特異な染色体異常を合併する骨髄異形成症や白血病の発生の報告がなされている。

4)骨髄移植

 重症患者に適応である。HLA一致の同胞、または骨髄バンクからの提供者により移植される。移植成績はきわめて良好で、

入院時の病歴聴取のポイント

O先行感染、服薬歴、家族歴をたずねる。

入院治療中の観察のポイント

O貧血の程度に応じて日常生活を援助する。

O感染予防のために、日頃から手洗い、うがい、口腔衛生、保清を指導する。顆粒球数に応じてガウンテクニックを行う。

O出血防止のために毛先の柔らかい歯ブラシを使用し、外傷を避ける。血圧測定は同一部位で行わない。ベッド柵を忘れずに使用し、転落を防止する。ベッド柵には毛布などでカバーを

し、打撲による出血を予防する。

その他のポイント

 医師と協力して

O再生不良性という名称だが、予後は比較的よいことを説明する。


O各治療における副作用を充分把握して本人や家族に説明し、不安の軽減をはかる。