医薬翻訳サービス

薬理学、生化学、統計学に精通した翻訳士が対応いたします

正社員ではない派遣MRが誕生

 

 ここ十数年の医薬品業界の変わりようは激しい。MRの世界も例外ではなく、その第一波は流通改革とともにやってきた。

 一九九〇年代前半まで、製薬メーカーのMRの主な仕事といえば、医療機関への自社製品のPRと納入価の交渉であった。製品のPRは当然のこととして、問題は納入価の交渉であった。

 通常、他の業界では小売店は品物の値段を卸と交渉し、卸はメーカーと価格を交渉する。ところが、当時のメーカーのMRは卸を飛び越えて、直接医療機関と納入価格を交渉していたのである。交渉の結果まとまった価格が卸への什切価をド回ると、その差額を卸に補償するという値引袖償制皮が行なわれていたのである。だが、一九九二年の独占禁止法の運用強化により、新仕切価制皮に移行し、医療川医薬品の販売価格は卸の自主性に任された。これが第一波である。

 この流通改革の結果、仕事の大半を失ったMRが喫茶店にたむろする現象が起きたりしたが、現在では医薬品情報の伝達・収集というMRの本道に戻っている。

 第二波は一九九七年に始まったMR認定試験である。これは医療の一端を担うものとして、MRの知識などの向上を目指すもので、二〇〇五年二一月の第二一回試験までに、累計八万二〇四一人が合格している。

 第三波は派遣MR、別名コントラクトMRの誕生である。この業界にMR派遣会社(コントラクト・セールス・オーガニゼーションーCSO)が登場したのは二〇〇〇年頃で、二〇〇三年現在約一〇〇〇人の派遣MRがいるものと推定されている。

 欧米では、自社MRの数を控え目にして人件費の軽減を図り、強力な宣伝が必要な新薬発売時に派遣MRを一時的に採用する企業が増えているとされ、欧州、特に英国ではMRの三人に一人は派遣MRとされている。

 発足間もない日本の場合、派遣MRを採用しているのは専業の中堅企業、兼業企業、外資系などの一部に限られている。派遣MRのほとんどが国内製薬企業を中途退職した人で占められ、優秀な人材が多くはないとみられているためだ。MRの質の向上がこれからの鍵を握っているといってよく、CSOでの研修・教育や、派遣MR自身の自覚を通じて、製薬企業の信頼を勝ち取ることが必要である。

 今後、大企業は別として、中小の製薬企業では派遣MR、特にMR認定試験の合格者を採用する可能性は高いと予想されている。認定試験を行なうMR教育センターではすでに、教育・研修の実施を要件に、非製薬企業のMRにも受験の門戸を開いている。

スペシャリストMR】特定の病気・治療薬に精通したMRをいう。つまり、ある狭い分野に関して深く知識を習得したMR。これに対し自社製品のすべてをPHするMRを、ゼネラリストMRという。