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MR認定試験が誕生した理由

 医薬品の使用に当たっては、付随する情報、たとえばどんな病気にどのくらい使い、どんな副作用が起きる可能性があって、どんな人に使えないのかといった情報が必要である。

 しかし、医師や薬剤師にこうした情報を伝えるべきMRのほぼ半数は、文科系の出身者で基礎的知識がほとんどなく、薬学・理学系出身者でも臨床的な知識が十分とはいえなかった。もちろん製薬企業は社内に教育部門を設けて随時教育していたが、それまでMRの活動がどちらかといえば営業面に偏りがちであったこともあり、情報の流れが十分とはいえない面がみられた。

 こうした状況は厚生省(現厚生労働省)が一九九〇年に設けた「MRのあり方に関する研究班」の報告書に端的に現れている。この報告書は、多くの医師、薬剤師が医療の一端を担うものとしてのMRの重要性は認識しているものの、その知的レベル、倫理、マナーなどに満足していないことを示していた。これを契機にMR資格化の論議が始まる。

 まず、当時の厚生省薬務局長の諮問機関「ニー世紀の医薬品のあり方に関する懇談会」がMR資格化の早急な検討を提言し、次に厚生省に設けられた「医療におけるMRのあり方に関する検討会」が、医療の現場で必要とされる情報を迅速、的確に提供するための知識がMRには必要とし、民間の第三者機関による資格制度を確立すべきであると報告した。

 これを受けて製薬業界が設立したのが「日本MR教育センター」で、公正を保つために「財団法人医薬情報担当者教育センター」に改め、一九九七年からMRの資格認定に乗り出したのである。

 まず希望者に教育研修を行ない、その修了者を対象に、MRに必要な共通の基礎的な医学・薬学・法規・制度などの試験が実施された。

 九七年二一月の第一回認定試験から、二〇〇五年二一月の第二一回試験まで一〇万八〇三人が受験し、八万二〇四一人が合格している。合格率は八四%。このうち新規合格者は七万一九八一人、再受験者は一万六〇人が合格した。

 MR認定証の有効期間は五年間。期限満了前までにそれぞれの企業内で年四〇時間以上、五年間に二〇〇時間以上の研修を終えると、認定証は更新されることになっている。これは、急速に進歩する医学・薬学・変革する医療制度に対応するためである。また、人材派遣業などの参入が見込まれるため、非製薬企業の社員でMRの業務を行なう者も受験できることになった。

 認定試験はMRに最低レベルの知識を与えるのには役立った。しかし、合格者が多いために、認定されても企業内での評価につながらないという不満の声が上がっている。今後は、より高次の認定試験-たとえば、特定の薬効群だけを担当する専門MRの資格化が問題となるだろう。

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