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医薬品医療機器総合機構とは何か

 一九八〇(昭和五五)年に「医薬品副作用被害救済基金」がスタートした。薬の副作用で被害を被った患者を救済することを趣旨として、製薬企業が薬の出荷数量に応じて資金を出し合ったものである。

 この基金に医薬品の研究・開発への支援や有効性、安全性の調査などの業務が加わって、「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構」、通称“医薬品機構”が誕生したのである。

 薬には副作用がつきものであり、医師が問診や検査を十分に行なっても、投与される患者の体質などによっては、副作用が出ることもある。副作用で被害を受けた人が訴訟を起こしても、必ずしも民事責任を問えない場合もあるし、結果が出るまでに長い時間がかかる。

 そこで、薬の副作用で大きな被害を被った人を、損害賠償とは別に救済しようというのが、この基金の目的としたところなのである。あくまでも「正しい目的に、正しく使われた場合の副作用」を対象とするもので、添付文書の適応症の欄に書いてある以外の病気に使って出た副作用は救済の対象にならないし、量を超えて使った場合の副作用も対象にはならない。

 副作用で被害を被った人は、まず医師の証明を受けて医薬品機構に救済を申し立てる。機構は厚生労働大臣に判定を申し出て、厚生労働大臣は薬事・食品衛生審議会の副作用被害判定部会の意見を聞いて判断する。被害が薬の使用によるもので、使用法が正しかったと判定されれば、被害の程度に応じて金額が給付される。

 一方、医薬品機構の医薬品の研究・振興・調査では、次のような仕事が行なわれている。

・医薬品の先端的研究や開発への出資あるいは融資

オーファンドラッグの開発や研究の支援

・医薬品の品質、有効性、安全性の向上に関する調査

 このなかには後発医薬品の有効性の調査、承認申請の際の安全性試験への適合状況の調査、企業の求めに応じた治験の指導・助言などがある。

 ところで、この医薬品機構が政府の進める特殊法人の見直しの対象となった。すなわち、医薬品機構、審査センター、医療機器センターを統合し、「医薬品医療機器総合機構」の名のもとに新独立行政法人を設立しようというものだ。医薬品・医療機器の承認審査、安全対策、研究開発振興、副作用被害救済などが業務で、二〇〇四年四月に創設された。

 しかし、振興(研究開発振興)と規制(承認)を一つの組織で行なうと、承認審査や安全対策などの中立性、公平性が保てなくなるのでは、との意見も強く、二〇〇五年四月に研究開発振興部門は独立行政法人医薬基盤研究所に移管された。

 

【ICU】集中治療室。手術後の患者や重症患者を収容し、高度の治療を行なう施設。医療スタッフが24時間勤務し、救急処置に必要な設備を備えている。患者の状態が好転すれば一般病棟へ移る。