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新薬の薬価はどのように決まるのか? 類似薬効比較方式

 臨床試験が終わり、薬として使えるめどが立つと、メーカーは薬の製造販売承認を厚生労働省に申請する。厳重な審査を経て承認が得られると、単なる化学物質が初めて薬として認められたことになる。だがこれでお終い、万々歳というわけにはいかない。薬価の決定という最後の難関が待っている。保険での薬価が高くつくか、低くつくかで売上に大きな差が出るからだ。

 新薬の薬価の決め方は、原則として「類似薬効比較方式」をとることになっており、類似の比較薬がない場合は、原価計算方式が使われる。主に原価から価格を決める一般の商品とは大きな違いがある。

◆類似薬効比較方式とは

・効能や効果、主な薬理作用などが似ている既発売の薬品を比較対照薬に選ぶこ日使用量分の価格が比較対照薬と同一になるよう算定するといった方式のものである。つまり、比較対照薬がなんであるかがカギになるわけで、選ばれた対照薬が低薬価であれば新薬も安く、高薬価であれば高くなるのである。

 しかし、既存品より明らかに高い有効性、安全性をもつ新薬の場合、既存品の価格で薬価を決められては努力した甲斐がない。そこで画期性加算、有用性加算、市場性加算の三つの補正加算がつけられる。

 ①新薬がまったく新しい着想で生まれ、②有用性または安全性が客観的かつ科学的に立証され、③治療方法の改善・進歩に著しく貢献した時は平均四〇%の画期性加算がつけられる。

 この三要件のうち二つを満たすと、有用性加算として薬価の高低に応じてI〇%を基本に、五%から一五%の範囲で加算がつけられる。薬価が高ければ低率、低ければ高率になるしくみだ。

 また、既存品にくらべて明らかに高い有効性または安全性が客観的・科学的に認められるか、製剤学的な工夫によって既存品より高い有用性が期待されるときにも、三%を基準に一・五%から四・五%の範囲で有用性加算がつけられる。

 市場性加算は、患者の少ない病気に用いる薬につけられる加算。患者が少なく、売上増が見込めない薬はメーカーが開発をためらうことが多いため、これを支援する目的で設けられたものだ。患者が五万人以下の病気に使う薬には、一〇%を基本に五%から一五%の範囲で、市場規模が全医薬品市場の〇・五%未満の薬などには基本三%、一・五%から四・五%の範囲で加算がつけられる。

 一方、既存の類似品と有効性・安全性が同程度の新薬、つまり新規性に乏しいものには加算がつかない。これらは俗にゾロ新と呼ばれている。