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GCPとは被験者の人権保護を目的とした臨床試験実施基準

新薬を開発するために避けて通れないのが、ヒトでの臨床試験です。臨床試験は、動物試験(animal testing)で安全性の予測が確認されているとはいうものの、未知の物質(unknown substance)を初めてヒトに使うのだから、ある程度のリスクもともないます。

 そこで薬の承認申請(application for approval)資料のための臨床試験が“倫理的配慮”のもとに“科学的”に実施されるよう定められたのが、GCPなのです。正式には「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」といい、臨床試験の被験者の人権保護が最大のポイントです。

 先の第二次世界大戦では、医療従事者による非人道的な実験がナチスにより行なわれました。この行為に対する反省から、1947年に「ニュルンベルク綱領(Nuremberg Code)」で人体実験(◾experiment on a human body)が厳しく規制され、64年のヘルシンキでの世界医師大会で、医師と医の倫理基準とともに、被験者の利益を優先する臨床試験綱領が採択されました。GCPは、この「ヘルシンキ宣言」を背景に誕生したのです。

 ところで、このGCPは「薬事規制の調和に関する国際会議(ICH)」と深い関係があります。この国際会議はおおざっぱにいえば、新薬の承認申請のための資料を日米欧が同じ基準で作成できるようにとの目的で開催されているものです。この会議が煮詰まってきたため、日本でも90年から始められた旧GCPを改定し、欧米と同様の基準となったのです。


 審査委員会は、医・薬の専門家5人以上からなり、このなかに一人以上の非専門家がいなければならず、治験を行なう病院と利害関係のない人物が参加していなければなりません。委員会では薬の物理・科学的性質、動物試験の成績、予想される副作用、治験方法などを厳しく審査します。審査をパスすると病院長と依頼者の問で契約が取り交わされ、治験がスタートするのである。

 医師はまず患者(被験者)に、治験薬について文書で説明する。文書中には、不参加でも、参加後に途中で止めても、不利益は受けないことが書かれています。そのうえで治験に参加する意思を尋ね、参加の意思を表明した人からは、署名した同意書をもらいます。つまり、インフォームド・コンセントです。こうして同意の得られた患者のみを対象に、治験が行なわれるのです。

 臨床試験の基準が厳しくなったためか、治験への参加者は減っており、最近では日刊紙で募集する企業もあります。


【GCPGood Clinical Practiceの略。患者の権利を守り、臨床試験の結果のねつ造防止などのために作成された、臨床試験の実施基準。