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武田薬品のEntyvio (vedolizumab):潰瘍性大腸炎とクローン病の新薬

 

FDAは本日、中等度から重度の潰瘍性大腸炎( ulcerative colitis)とクローン病の治療に用いる Entyvio (vedolizumab) を承認しました。

 

 Entyvioは、吸入コルチコステロイド剤(corticosteroids)や免疫抑制剤、腫瘍壊死因子遮断薬などの標準治療で良好な結果が得られない場合に使用します。

 

潰瘍性大腸炎に対する Entyvioの安全性と有効性は、コルチコステロイド剤などに十分に反応しない患者約900名を対象とした2件の臨床試験で確立しました。患者評価では排便回数(stool frequency)や直腸出血(rectal bleeding)、内視鏡所見(endoscopic findings)などを対象としました。

 

Entyvio投与群はプラセボ群と比較して、臨床反応を維持して臨床的寛解を達成および維持し、コルチコステロイド剤不要の臨床的寛解を達成することが、試験結果により明らかになりました。さらに、Entyvio投与群では結腸の外観が改善していることが、内視鏡検査により確認されました。

 

クローン病に対するEntyvioの安全性と有効性は、約1,500名の患者を対象とした3件の臨床試験で確立しました。この場合にも潰瘍性大腸炎の患者を対象とした場合と同じ結果が得られました。

 

Entyvioはインテグリン受容体拮抗薬( integrin receptor antagonist)です。インテグリン受容体はタンパク質であり、特定の細胞表面に発現します。インテグリン受容体は細胞間相互作用の橋渡しの役目を果たします。Entyvioは特定のインテグリン受容体(循環炎症細胞に発現)の作用を遮断し、血管への炎症細胞浸潤を抑えて胃腸管の炎症を防ぎます。Entyvio投与群で確認された主な副作用は頭痛、関節痛、吐き気、発熱などです。Entyvio関連の深刻なリスクは、重い感染症、過敏症、点滴に対する反応、肝毒性( hepatotoxicity)などです。

 

他のタイプのインテグリン受容体拮抗薬は、中枢神経系の致死性日和見感染症(opportunistic infection)である進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy;PML)に関連しています。PMLは免疫力の弱い患者に生じやすいウイルス性疾患です。Entyvioの臨床試験でPMLは発生していません。

 

Entyvioの臨床試験ではPMLのモニターを徹底するため、頻繁かつ定期的にスクリーニングを行い、必要に応じてすべての神経学的症状を評価しました。臨床試験は厳重に管理された環境で行われるため、臨床試験で確認される副作用の発生率は、実際の医療現場でのものを必ずしも反映するわけではありません。そのため、Entyvioの臨床試験ではPMLが確認されませんでしたが、Entyvio投与関連のPMLリスクには不確定要素がまだ残っています。

 

医療従事者はEntyvio投与の患者の症状悪化や神経学的徴候および症状を観察する必要があります。