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薬剤師にも高度な専門知識が求められる時代に

 

 当然のことながら、薬剤師もこれまで以上に質を問われるようになる。高度な専門知識、医薬品の安全使用もさることながら、患者とじかに接する薬剤師にはコミュニケーション能力、豊かな人間性なども欠かせない。

 医師と対等に活躍できるだけの技能、態度などを身にっけるためには、四年間の薬学部教育では間に合わないという声が高まり、平成十八年度からは、大学の薬学部も六年制が導入されることになった。

 これまで薬学部では、薬品メーカーの研究開発者やMRの養成を中心とした教育が行われ、臨床教育や実務実習はほとんど行われてこなかった。薬剤師教育は、むしろ就職先の病院や薬局に委ねられていたのである。それだけに、就職先の教育システムの充実度によって、薬剤師の質に大きな格差が生じていたようだ。

 十年ほど前までは、薬学部卒業者の四割が薬品メーカーに就職していたが、昨今は一割ほどにまで減少。代わって薬剤師として医療現場への就職を希望する学生が増え、その数は八割近くにまでなるという。薬学部教育も変革の時期を迎えたということだろう。今後は社会のニーズに応え、医療のプロとしての薬剤師育成をめざし、臨床や実務実習を重視した内容になる見とおしだ。

 薬剤師の質の向上は、これから薬剤師をめざす者だけに限ったことではない。個人薬局の場合、薬剤師の免許を持ってはいるものの、処方箋調剤の機会がほとんどなく、物品販売を中心に行ってきたというところも多い。

 それがここにきて、急に医薬分業が進んだからといって、調剤業務に十分対応するのは不可能だろう。

 とりわけ女性の場合、薬剤師資格を取得したというだけで、一度も薬剤師として働いたことがなかったり、結婚・出産などで仕事から遠ざかっている人も少なくない。医薬分業が加速したことにより、薬剤師の絶対数が不足し、近年はそうした人たちまでもが、調剤 薬局で薬剤師として働く場を得られるようになっていることも、また、事実なのである。

 しかしこれでは、患者から信頼される薬剤師にはなり得ない。薬剤師の社会的地位を向上させるためにも、薬剤師一人ひとりの意識変革が求められ、業界としても再教育を含めた取り組みを検討すべきなのかもしれない。

 平成十六年四月には、わが国の医薬分業を切り開いてきた調剤薬局チェーン各社が集い、国民医療に貢献することを目的に日本保険薬局協会を設立した。正会員二五五社、賛助会員一四一社から成り、三津原は副会長に就任している。

 同協会では、医療の安全性を確保しつつ、医療費削減に貢献することを使命とし、同時に、薬剤師の社会的評価を高めていきたいといっている。

『医薬分業への道(鶴蒔 靖夫)』より