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 低蛋白食用特殊食品

 

 

 日本の食生活では今なお主食・副食という概念が残されていますO米 飯の摂り方は減ったとはいえ、一日のエネルギー摂取量の五〇%は米飯、麪、パンから摂取されています。しかし、これらの主食にはかなりの蛋白が含まれているので、普通の献立では主食からの蛋白だけで二〇グラムにも達してしまい、もし一日蛋白四〇グラムの低蛋白食を実行しようとすると、副食から摂る蛋白は二〇グラムと少なくなってしまいます。普通の米飯やパンを用いた低蛋白食では、副食の肉、魚、卵はほんのわずかとなり、さびしい食卓になってし

まいます。それでは主食を減らしたらどうかというと、今度はエネルギーが十分摂れない食事になってしまいます。

 

 以前の低蛋白食の献立はこのようなジレンマのなかで作られたので、見栄えの良くない、食べにくいもので、患者さんは苦痛を忍んで食べていました。

 

 一九八四年ころより米飯を低蛋白化する試みがなされました。そのはじめの試みは「でんぷん米」の作製です。これはじゃがいもでんぷんを米の形に成形した人造米です。

 

 その後、従来からある、米の低蛋白化が試みられました。もっとも単純で、費用がかからない低蛋白化として、米粒を三〇%程度特殊な精米機で削る方法を私が着想しました。米粒の蛋白は外層に集中しているので、外側を削ることで蛋白含量を通常の五〇%に減らした低蛋白米となります。これを「メディカル・ライス」と名づけ現在も市販しています。

 

 また米に乳酸菌などを作用させ、蛋自を分解することによる低蛋自化も行なわれました。さらに米の品種改良で人問が吸収できない蛋白を多く含む米が間発され、これも低蛋白米として用いられています。

 

 うどん、そば、スパゲッティなどの麺類もそれぞれ「低蛋白」と名づけられた製品が市販され、最近では「低蛋白食パン」も製品化されています。

 

 低蛋白食用特殊食品を用いることで、献立の大変さからかなり解放されます。患者さんの特殊食品購入費用は月に八〇〇〇~一万円程度ならば、何とか続けていける額だと思います。

 

 現在、低蛋白米だけでも八種類以上の製品があり、需要は少しずつ伸びていることから、五~一〇万人の定期購入者がいると推定されますが、腎不全保存療法を熱心に行なっている施設で診療を受けている慢性腎不全患者の数は多く見積もっても五〇〇〇人程度です。推定ですが定期購入者の大部分は低蛋白食品さえ摂っていれば腎不全の進行が抑えられると思っている人たちで、その人たちには正しい治療法の指導は届いていないと思われ、ここにも腎不全保存療法の間題点が見えてきます。