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武田、SCM視点で流通改革

 メーカーのロジスティクスーチェーンシステムのモデルとして、武田の取り組みを紹介する。同社は医薬品メーカーでは最も早く物流管理部を創設、物流改革をシステム的に進めた先駆者であり、仕入先や特約店を含めた最適化を一貫して追求してきた。いわば、SCMの概念が登場する前からのSCM志向である。上げてきた成果も大きいが、発想、プロセスにも注目したい。その武田にも、新たな変化がみえ始めた。

 

   医薬品ロジスティクス改革、着眼点は在庫管理

 

 武田に物流管理部が誕生したのは71年で、他業種を含め早い時期だったが、創設時に「物流はシステム化か肝要」とシステム技術者を数人配属させたのが一つの特徴である。物流管理部は事業部門と連携、オンライン受注システム、物流管理会計システムなどの開発や物流センター構築を進めた。しかし、医薬品の場合、卸を含めた在庫管理システムの開発導入が最も流通効率化に寄与するという考え方を持った。医薬品は高価品のため対売上物流費率は低いが、在庫削減効果は大きかった。

 

 また、その改善効果の拡人には仕入れ先や卸も含めたトータルの効率化志向が肝要だ。武山の物流管理部は、医薬品の物流特性に着目し、SCMの視点に立った在庫管理推進を充填ターゲットとした。そして、医薬営業本部との緊密な連携によって物流部門悦案型在庫管理システム導入を可能にした。

 

 まず取り組んだ仕入在庫管理システムでは、ABC分析、標準偏差、シミュレーションなどの手法を使って最適な発注基準を算定、人手を介入させないコンピュータとFAXによる自動仕入を確立した。76年に稼働し、在庫半減、品切れ1桁減のほか、仕入運送費の低減や仕入業務の省力化にも寄与した。引き続き自社品の在庫配分システムを立ち上げ、効果を上げるとともに、医薬特約店への展開を図った。

 

 卸の在庫管理のレベルが向上すると、経営体質が強化され、債権短縮、返品減少のほか、緊急発注防止、バラ受注抑制、受発注業務の省力化・正確化などの実務的な効果を上げる運用が可能となる。メーカーもその運用の仕方で、効果の享受が可能になる。

 

 武田は特約店に対し、在庫管理の導入体制の整備じンステム間発・運用定着という一連の支援メニューを用意、70年代後半から80年代前半にかけ、主要特約店50社余りに普及を図った。この成果がJD-Netより5年早い82年に稼働した武田=特約店=仕入先間の受発注VAN、T-NETに結実する。受発注の完令自動化により、発注側・受注側で各々100人オーダーのオペレーターの省力化ができたという。

 

 90年にスタートした武田の即日出荷、近郊即日着荷という高度物流サービス体制も、この成果の上に成立している。SCMの言葉が日本に上陸する!0年以上前の話だが、まさにSCMのロジスティクス版でおり、卸・メーカー・仕入先というパートナー問に「WTIN-WIN」の関係をもたらしたと評価できる。