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  輸液のローコスト化に直通チャネル、グリーンSCM構築も

 武田は通常の高価少量医薬品とともに、その対極にある安価大量という商品特性を持つ輸液・透析液類も清水製薬(当時。静岡市)から仕入、販売していた。これら水物と呼ばれる医薬品は、一梱当たり2000円弱から4000円前後と飲料並みの安い価格で、しかも通常の医薬品を超える物量があった。当然のことではあるが、異なった流通カテゴリーを持ってしかるべきだった。

 

 武田はこのローコスト化にも取り組み、80年頃からその流通チャネルを区分し始めた。清水製薬の工場(静岡県)から武川の物流センターを経由せず、心接卸の物流拠点にトラック単位で送品する仕組みで、東海地区と首都圏で始め、90年代には遠隔中規模卸にも5トンクラスの鉄道コンテナを利用した定期定量輸送システムを稼働させた。

 

 90年代半ばには透析液を病院に直接送品し、空容器を容器メーカーが引き取るリサイクル型物流システムを開発した。動機は卸のMS救済策と、容器回収の円滑化である。当時はバブルの余韻が残り、若手労働力は不足し、卸の若手MSといえども重量のある透析液を、階段を使って搬入する作業に悲鳴を上げた。一方、空容器はリサイクル原料として引っ張りだこの時期もあったが、この頃からリサイクル業者にも敬遠され始め、透析病院は空容器の山に困惑した。

 

 武田は、容器メーカー・製造工場・販売者・卸・病院・物流業者が関係するリサイクルチェーンを構築、商流は変えず、物流のみ一気通貫で生産と消費を直結させた(図5)。ローコストと環境保護を目指すグリーンSCMと評価できる。

 

 同社は「安価大量品の物流コストを削減する、精一杯の工夫」というが、SCMでいう「市場まで二(通貰、最蜆最速で送品)の原則適用の成功例といえよう。なお、透析液はその後、病院で粉末を溶解させる方式が普及し、流通面の改善はさらに進んだ。また04年には、清水製薬は味の素ファルマに統合され、武川流通ネットから離れた。

 

 メーカーと卸のサプライチェーンの役割分担は変化し続けるが、「WTINIWTIN」の関係を強化する努力は今後とも必要だ。なお武山は現在、物流機能のさらなる縮小を検討している。単なるアウトソーシングとは異なるSCM的発想を加えたもののようだが、詳細は発表されていない。